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スーパークリティカル、新規資金調達でCDR供給開発を強化 除去系特化と高い審査却下率に独自性

2026.05.12 読了 約4分
スーパークリティカル、新規資金調達でCDR供給開発を強化 除去系特化と高い審査却下率に独自性
出典:Supercritical

ロンドン拠点のCDRマーケットプレイス、スーパークリティカル(Supercritical)は2026年5月、新規資金調達の実施を発表した。リード投資家はグリーンコード・ベンチャーズ(Greencode Ventures)で、ライトスピード・ベンチャー・パートナーズ(Lightspeed Venture Partners)、RTPグローバル(RTP Global)、ローカルグローブ(LocalGlobe)の既存投資家3社も参加した。調達額は公表されていない。

調達した資金はCDR供給開発プログラムの拡張に充てられる。スーパークリティカルは、企業バイヤー向けに耐久性の高い除去系カーボンクレジットのポートフォリオを構築するマーケットプレイスとして、サプライヤーの初期サイト立ち上げから百万トン規模のオフテイク契約締結まで、エンドツーエンドで関与する事業モデルを採る。

累計約200万トン、Microsoft規模のオフテイクも

スーパークリティカルがこれまでに仲介したCDRは累計約200万トンに達する。なかでも特筆されるのが、10年間で100万トンのバイオ炭オフテイク契約であり、米国における同種案件としては過去最大規模とされる。なお契約の具体的相手企業は、一次情報では開示されていない。

取扱対象はバイオ炭、岩石風化促進(ERW)、直接空気回収(DAC)、鉱化、生物エネルギー炭素回収・貯留(BECCS)等、永続性の高い除去系CDR経路に限定されている。森林由来の自然系CDRや、REDD+等の回避系カーボンクレジットは取り扱わない。

買い手側は200社超、サプライヤー側は600社超を追跡しており、自社推計ではグローバルの耐久性CDR市場の8割をカバーするという。

CEOのミシェル・ユー(Michelle You)氏は「有望なプロジェクトのアイデアから契約締結までの距離は依然として大きい。これを埋めるには、詳細なエンジニアリング計画、ライフサイクル評価、監査に耐えるMRV、企業のデューデリジェンスに耐える商業契約構造が必要だ」と述べる。

グリーンコード・ベンチャーズのテルヒ・ヴァポラ(Terhi Vapola)氏は「カーボンリムーバルは気候インフラである。成功する企業は、実際にそれを建設できる企業だ」とコメントしている。

88%却下率、業界の品質基準への問題提起

スーパークリティカルの特徴として強調されるのが、気候科学ディレクターのマイ・ブイ(Mai Bui)博士が率いる科学的審査プロトコルにおいて、評価対象プロジェクトの88%を却下しているという数字である。同社の科学チームはSBTiのCDR基準策定にも助言を行っている。

この88%という数字は、ベラ(Verra)、プロアース(Puro.earth)、ゴールドスタンダード(Gold Standard)等の主要レジストリの正式認証却下率と比較しても異例の高さに見える。ただし両者は比較軸が異なる点に留意が必要であり、レジストリ側は「正式申請後の発行可否」を、スーパークリティカルは「市場流通前のスクリーニング段階」を判断している。性質の異なる審査である以上、単純比較は適切でない。

それでもなお、マーケットプレイスが調達段階で約9割を排除している事実は、現行のCDRサプライ全体に対する品質的疑義として読み取ることができる。一方で、こうした厳格な選別は供給開発の遅延要因にもなりうるとの指摘もあり、需要急増局面における選別基準の妥当性をめぐっては議論の余地が残る。

マーケットプレイス型モデルの妥当性

CDR調達におけるマーケットプレイス型仲介の役割について、一部の大手企業は、サプライヤーと直接的に長期オフテイク契約を結ぶ動きを強めており、仲介者を介さない調達経路の優位性を主張する立場もある。

他方、中堅・中小規模の企業バイヤーにとっては、自社で技術評価・MRV検証・契約設計を完結させる体制構築のハードルは高く、マーケットプレイスが提供する集約的調達インフラの価値は無視できない。

スーパークリティカルが「プロジェクト開発機能を内製化したマーケットプレイス」という位置づけを取る背景には、純粋仲介では企業の調達ニーズに応えきれないという構造認識がある。

注目すべきは、スーパークリティカルが標榜する「除去系CDR特化」と「88%却下」という二つの方針が、業界全体に対する事実上の品質基準提示として機能している点である。とりわけ後者は、レジストリの認証却下率との比較軸の違いを差し引いてもなお、市場流通段階のCDRサプライにおける品質のばらつきを浮き彫りにする。

参考:https://greencode.vc/insights/supercritical-secures-new-funding-to-expand-carbon-removal-supply-development

関連タグ CDR
カーボンクレジット.jp 編集部
カーボンクレジット.jp編集部|2023年末に当時日本初かつ唯一のカーボンクレジット専門情報メディアを立ち上げ。高度な専門性とわかりやすさを追求した翻訳力。