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セブンイレブン、農業由来J-クレジットの活用を開始 流通大手の参入が示す国内需要の構造変化

2026.05.12 読了 約3分
セブンイレブン、農業由来J-クレジットの活用を開始 流通大手の参入が示す国内需要の構造変化
出典:イメージ

セブン-イレブン・ジャパンが2026年5月11日、農業由来J-クレジット制度の活用を発表した。水稲栽培における中干し期間の延長メソドロジーで創出された2024年認証分のカーボンクレジットを、2025年度より購入する。農業由来カーボンクレジット創出スタートアップであるフェイガーが本取り組みのパートナーを務める。

中干し延長メソドロジーと取り組みの枠組み

J-クレジット制度の農業分野メソドロジー「AG-005:水稲栽培における中干し期間の延長」は、2023年3月に承認された方法論である。中干し期間を当該水田の直近2か年以上の実施日数の平均より7日間以上延長することで、水田から発生するメタン(CH4)の排出量を約3割削減し、その削減量をJ-クレジットとして認証する。

セブンイレブン・ジャパンは、2024年に認証されたカーボンクレジットを2025年に購入し、生産者の新たな収入機会の創出と環境配慮型農業の普及を支援する。フェイガーは2023年度実績で14道府県・約60農家・約1,500haから約6,000トンのJ-クレジット認証を受けており、JA全農との業務提携も締結している。

サプライチェーン脱炭素戦略との接続

セブン&アイ・ホールディングスは環境宣言「GREEN CHALLENGE 2050」において、店舗運営に伴うCO2排出量を2013年度比で2030年までに50%、2050年までに実質ゼロとする目標を掲げる。中でも、セブンイレブン・ジャパン単体のカテゴリー1(購入した製品・サービス)Scope 3排出量は10,569,460トンに達し、グループのScope 3全体の約3割を占める。

SBTi FLAGガイダンスでは食品小売を土地集約型セクターとして規定し、コメは指定11コモディティの1つに含まれる。原料米のサプライチェーン排出削減は、SBTi認定の取得・更新を視野に入れる流通大手にとって、近い将来不可避の論点となる。

中干し延長メソドロジーの品質をめぐる視点

農林水産省「みどりの食料システム戦略」および政府の「地球温暖化対策計画」において中干し延長等による水田メタン削減が明確に位置付けられており、政策的な正統性は確立している。本件のような流通大手による継続的な需要は、MRVの精緻化と価格水準の上昇を通じ、品質改善への投資余地を広げる効果も期待できる。

本件は規模そのものよりも、流通最大手が国内農業由来J-クレジット調達の常連層に加わったという需要構造変化の象徴として位置付けるべきである。流通各社が国内農業由来J-クレジットを本格的に活用していく上で、SBTi FLAGガイダンスに即した取り扱いの明確化と、原料調達サプライチェーンとの紐付けの透明化が次の論点となる。

日本企業にとって、農業由来カーボンクレジットを「環境価値の調達」で終わらせず、サプライヤーエンゲージメントとScope 3削減の設計に接続できるかが分水嶺となる。

参考:https://www.sej.co.jp/company/news_release/news/2026/202605111500.html

カーボンクレジット.jp 編集部
カーボンクレジット.jp編集部|2023年末に当時日本初かつ唯一のカーボンクレジット専門情報メディアを立ち上げ。高度な専門性とわかりやすさを追求した翻訳力。