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衛星メタン監視MARS、対応率80%を目標に拡充へ

2026.06.26 読了 約3分
衛星メタン監視MARS、対応率80%を目標に拡充へ
出典:イメージ

国連環境計画(UNEP)とブルームバーグ・フィランソロピーズ(Bloomberg Philanthropies)は6月23日、衛星で検知された大規模なメタン漏洩に対する各国の対応率を、2030年までに80%へ引き上げる取り組みを発表した。現時点で80%の対応率に達しているのは、先行する10カ国にとどまる。

中核となるのは、UNEPの国際メタン排出観測所(IMEO)と、その主力システムであるメタン警報・対応システム(MARS)の強化・拡張である。MARSは2023年の運用開始以降、33カ国で5,000件超の警報を発出してきた。

今回の取り組みは既存運用の延長線上にある。地域パートナーの招集とスーパーエミッター(super-emitter)警報への対応能力の構築、石油・ガスメタンパートナーシップ2.0(OGMP 2.0)を通じた民間部門のMARSデータ活用促進、データ基盤「Eye on Methane」の改善を柱とする。基盤面でも、MARS警報の石炭・廃棄物セクターへの拡張、IEAと共同公表した対応の手引き、カーボンマッパー(Carbon Mapper)など追加衛星のデータ統合が進む。

MARSは独立した衛星データを用い、大規模なメタン排出をニアリアルタイムで検知する。運用開始から10カ国で40件超の削減が確認され、アルジェリアでは数十年来続いた漏洩の修復が、短期的には年間50万台の車両を路上から取り除くのに相当する効果をもたらしたという。

対応率13%という課題

検知の広がりに、各国の対応は追いついていない。

警報を受けて調査が行われ、UNEPへ情報が返送される事例は、世界全体で13%にすぎない。大規模漏洩の多くは低コストまたは無償の修繕で対処でき、緩和機会としての費用対効果は高い。だからこそ、この対応率の低さが際立つ。

今回の80%目標は、この対応ギャップの解消に照準を合わせている。

ただし対応の遅れは、意思の欠如だけに起因するわけではない。途上国では技術的能力と投資の不足が依然として大きく、検知から行動への移行には資金・技術両面の支援が前提となる。

編集部の視点

メタン緩和をめぐる制約は、見えるかどうかから動くかどうかへ移った。衛星dMRVの整備で大規模排出源の特定はほぼ解決し、5,000件超の警報がそれを裏づける。にもかかわらず対応率が13%にとどまる構図は、技術ではなく各国政府と事業者の対応体制が緩和の律速段階になっていることを示す。

その意味で今回の80%目標は、新たな検知能力の獲得ではなく、対応率という指標を成果尺度に据え直す宣言として位置づけられる。取り組みを評価する基準は、警報の発出件数から、それがどれだけ実際の削減に転化したかへ移る。

参考:https://www.unep.org/news-and-stories/press-release/unep-partners-ramp-efforts-address-major-methane-leaks-un-chief

関連タグ メタン
カーボンクレジット.jp 編集部
カーボンクレジット.jp編集部|2023年末に当時日本初かつ唯一のカーボンクレジット専門情報メディアを立ち上げ。高度な専門性とわかりやすさを追求した翻訳力。