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スーパークリティカル、ヴァラハと分散型バイオ炭カーボンクレジットで独占販売契約

2026.05.25 読了 約4分
スーパークリティカル、ヴァラハと分散型バイオ炭カーボンクレジットで独占販売契約
出典:イメージ

カーボン除去(CDR)マーケットプレイス大手のスーパークリティカル(Supercritical)は2026年5月19日、インドのカーボンプロジェクト開発企業ヴァラハ(Varaha)と、分散型バイオ炭由来のカーボンクレジットに関する独占販売契約を締結したと発表した。アイソメトリック(Isometric)の「Distributed Biochar Module v1.1」に基づき認証された当該カーボンクレジットは、2026年中に10,000トン分が供給される見通しである。

分散型バイオ炭は、これまでの産業型・職人型に続く第三の生産階層として位置づけられる。産業型は厳格な検証と限定的な供給、職人型は低コストとコベネフィットを特徴とする一方、開放型のピット式生産が企業向け検証を困難にしてきた。分散型は密閉型キルンとIoTによる排出モニタリングを組み合わせ、分散化されたオペレーションに産業型相当の検証水準を持ち込む構造である。

ヴァラハのインドでの事業は、農地を劣化させる侵入種プロソピス・ユリフローラ(Prosopis juliflora)と農業残渣をバイオ炭に転換し、FPIC(自由意思による事前の十分な情報に基づく同意)原則のもとで20万人を超える小規模農家に収益を還元する設計となっている。既存顧客にはグーグル(Google)とマイクロソフト(Microsoft)が含まれる。

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アイソメトリックのモジュールは、密閉型キルンの採用、連続的な IoT 排出モニタリング、標準化された運用手順を要求し、分散型プロジェクトに対して産業型バイオ炭と同等の永続性・MRV 基準の遵守を求める。スーパークリティカルの主任気候科学者がモジュール開発に関与した経緯がある。

スーパークリティカルの CEO であるミシェル・ユー氏(Michelle You)は、同社が累計約200万トンのバイオ炭を取り扱い、118項目の精査プロトコルを全プロジェクトに適用していると説明したうえで、申請プロジェクトの88%が不合格となるなか、ヴァラハの分散型バイオ炭が通過したと述べた。ヴァラハの CEO マドゥル・ジェイン氏(Madhur Jain)は、インドが年間5億トンの農業バイオマスを産出し、そのうち2億トンが廃棄されている現状を指摘し、本契約により長期的な CDR ポートフォリオを構築する企業顧客への安定的なアクセスルートを確保したと述べた。

本契約はスーパークリティカルが進める独占供給戦略の一環である。同社はこれまでにエクソマド・グリーン(Exomad Green)との50万トン契約、ライフラフト(Liferaft)経由でのマイクロソフト向け10年100万トン契約、グラウンドアップ(GroundUp)とボーイング(Boeing)の取引などを手掛けてきた。

一方で、独占販売契約モデルが供給確保に有効な戦略である反面、ボランタリーカーボンクレジット市場の流動性や価格透明性を低下させるとの指摘もある。特定のマーケットプレイスを介さなければ高品質供給にアクセスできない構造は、買い手側の選択肢を狭める可能性がある。

本件は新たな技術的・制度的ブレイクスルーというよりも、スーパークリティカルが推進する独占供給戦略の積み重ねとして読むべき事案である。エクソマド・グリーン、ライフラフト経由のマイクロソフト向け契約、ボーイング向けグラウンドアップに続く一連の動きは、CDR マーケットプレイスが単なる仲介機能から「供給コントロール主体」へ移行しつつあることを示唆する。

分散型バイオ炭という新カテゴリ自体は産業型 MRV の漸進的拡張であり、構造転換と呼ぶには時期尚早である。むしろ注目すべきは、高品質 CDR の希少性が高まるなかで、マーケットプレイス側がアップストリームの開発者と排他的契約を結ぶ動きが標準化しつつある点である。買い手企業にとっては、複数マーケットプレイスを跨いだ調達設計と、独占供給による価格交渉力の偏在をどう評価するかが論点となる。

参考:https://gosupercritical.com/resources/press/first-certified-distributed-biochar-credits-come-to-market-through-supercritical-varaha-exclusive

関連タグ バイオ炭
カーボンクレジット.jp 編集部
カーボンクレジット.jp編集部|2023年末に当時日本初かつ唯一のカーボンクレジット専門情報メディアを立ち上げ。高度な専門性とわかりやすさを追求した翻訳力。