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耐久性CDR市場、2026年Q1は契約量230万トンで過去最大 マイクロソフト依存とバイオ炭偏重の構造は継続

2026.05.21 読了 約7分
耐久性CDR市場、2026年Q1は契約量230万トンで過去最大 マイクロソフト依存とバイオ炭偏重の構造は継続
出典:<a href="https://www.cdr.fyi/blog/2026-q1-durable-cdr-market-update-from-promise-to-proof" target="_blank"CDR.fyi</a>

CDR.fyiは5月18日、2026年第1四半期の耐久性カーボンクレジット市場アップデートを公表した。契約量は230万トンに達し、Q1として過去最大を記録した。前年同期比は約560%、Q1としては従来の最高水準を大幅に塗り替えた。

ただし、絶対量の記録更新と市場構造の健全性は別の問題である。

本四半期の契約構造は、2025年に観察された買い手集中・手法集中・仲介機能膨張という3つの構造的特徴をそのまま引き継いでいる。

マイクロソフトの100万トン取引が四半期全体の43%を占める

四半期最大の取引は、マイクロソフトとバイオ炭供給者のライフラフト(Liferaft)が締結した100万トン契約であった。10年間にわたる引き渡しが予定されており、バイオ炭カーボンクレジットの取引としては史上2番目の規模となる。この1件だけで四半期全体の契約量の43%を占めた

2026年Q1 耐久性CDR契約量の構造(総量230万トン)
マイクロソフト1社 100万トン(43%)
上位5取引(マイクロソフト含む) 約209万トン(91%)
マイクロソフトを除く113社以上 130万トン(57%)

出所:CDR.fyi「2026 Q1 Durable CDR Market Update」より編集部作成

マイクロソフトを除く113社以上の購入者による契約量は130万トンで、非マイクロソフト四半期契約量としては過去3番目の水準である。一見すると参加者の裾野が広がっているように見えるが、上位5取引で四半期契約量の91%を占めており、需要側の集中度は依然として極端である。

バイオ炭が契約量の93%を独占

手法別では、バイオ炭が四半期契約量の93%を占めた。上位5取引すべてがバイオ炭であり、DACBECCS、マイナラリゼーション、海洋CDR(mCDR)、岩石風化促進(ERW)等の高耐久技術は規模化の入口にとどまる。

2026年Q1 手法別契約量シェア
93% バイオ炭
バイオ炭 93.0%
その他BiCRS 2.6%
DACBECCS
マイナラリゼーション・
mCDR・ERW等
4.4%

出所:CDR.fyi「2026 Q1 Durable CDR Market Update」より編集部作成

CDR.fyiは耐久性を「数百年から数千年」と定義しており、バイオ炭は永続性の下限帯に位置する。地質学的タイムスケールでの固定を実現するDACやBECCSとの品質差は本質的に存在するが、現在の市場価格構造では低単価のバイオ炭が圧倒的に選好される結果となっている。

供給側ではエクソマド・グリーン(Exomad Green)が四半期最大の供給者の一つとなり、CDR仲介事業者のスーパークリティカル(Supercritical)との50万トン契約に加え、別の仲介事業者ゼンケン(Senken)経由で10.5万トンを匿名購入者に販売した。

仲介経由取引が74%、過去最高比率を記録

取引の流通構造にも構造的な偏りがある。本四半期は仲介事業者経由の契約が全体の74%に達し、CDR.fyiが集計を開始して以来の最高比率となった。

これは社内デューデリジェンス能力を持つ大手購入者以外は、仲介事業者の評価と組成に依存せざるをえない市場の現実を映している。スーパークリティカルは単独で150万トンの取引を仲介し、四半期契約量の88%に関与した。

2026年Q1 上位5取引の概要
購入者 供給者 仲介事業者 数量(トン) 手法
マイクロソフト ライフラフト 直接取引 1,000,000 バイオ炭
非公開 エクソマド・グリーン スーパークリティカル 500,000 バイオ炭
エンパカール アティチュード 直接取引 305,000 バイオ炭
グーグル AMP 直接取引 200,000 バイオ炭
非公開 エクソマド・グリーン ゼンケン 105,000 バイオ炭
上位5取引合計 2,110,000 四半期総量の約91%

出所:CDR.fyi「2026 Q1 Durable CDR Market Update」より編集部作成

引き渡し(デリバリー)は14.5万トン、リタイアは10万トンで、いずれも四半期ベースで過去2番目の水準を記録した。年同期比ではデリバリーが67%増となり、契約から実引き渡しへの転換は着実に進んでいる。

警戒シグナルとしての減速基調

CDR.fyi自身もレポートで「2026年Q1は年初としては最強だが、2025年中盤の例外的なペースからは大幅な減速を示している」と注記している。Q1の数値が記録更新であることと、年間を通じた成長軌道にあることは別の論点である。

レポートは市場の今後について、「より好ましい政策と市場インセンティブが本格的に効くまで、現在の構造が続く可能性が高い」と評価している。需要構造の集中度が解消されない限り、マイクロソフト1社の調達戦略変更が市場全体を揺るがす脆弱性は残り続ける

関連記事:マイクロソフトのCDR調達「停止」報道 公式否定も単一バイヤー依存の脆弱性が露呈

編集デスクの視点

230万トンという四半期契約量は確かに記録更新であるが、本質はマイクロソフト1社が43%を占め、バイオ炭1手法が93%を占める二重の集中構造が解消されていないことにある。これは成長局面ではなく、特定買い手と特定手法に依存した不安定な拡張局面と評価するのが妥当である。

注目すべきは、本レポートに登場する100社超の購入者・供給者・仲介者の中に日系プレイヤーがほぼ皆無である事実である。確認できる日系言及はDAC企業のエアマイン(Airmyne)に出資したENEOSホールディングスのみであり、購入側にも供給側にも仲介側にも日系企業は登場しない。グローバル耐久性CDR市場は欧米資本と新興国プロジェクトで形成される構造が固まりつつあり、日系企業の不在は単なる出遅れではなく、構造的な脱落リスクを示唆する段階に入っている。

参考:https://www.cdr.fyi/blog/2026-q1-durable-cdr-market-update-from-promise-to-proof

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カーボンクレジット.jp 編集部
カーボンクレジット.jp編集部|2023年末に当時日本初かつ唯一のカーボンクレジット専門情報メディアを立ち上げ。高度な専門性とわかりやすさを追求した翻訳力。