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松屋フーズ×タックジャパン、食品残渣を堆肥化しJ-クレジット制度認証農法の国産米を店舗提供 循環型フードチェーンで稲作メタンを30%削減

2026.03.11 更新 2026.03.12 読了 約3分
松屋フーズ×タックジャパン、食品残渣を堆肥化しJ-クレジット制度認証農法の国産米を店舗提供 循環型フードチェーンで稲作メタンを30%削減
出典:イメージ

松屋フーズホールディングス(以下「松屋フーズ」)とタックジャパンは2026年3月9日、食品残渣の資源循環とJ-クレジット制度認証農法を組み合わせた「循環型フードチェーンモデル」の展開開始を発表した。

松屋の店舗・工場から発生する食品残渣を堆肥として農業側に還流させ、稲作由来の温室効果ガス(GHG)排出量を削減したカーボンクレジットを創出する、食と気候変動対策を一体化した取り組みとして注目される。

廃棄から農地、食卓への循環

本モデルは4段階のバリューチェーンで構成される。

第一に、松屋の約1,400店舗および工場で年間発生する食品残渣を高品質な堆肥として再資源化する。松屋フーズはすでに年間約22,000トンの食品ロス食材を肥料・飼料としてリサイクルするフードリサイクル事業を展開しており、本取り組みはその延長線上に位置づけられる。

第二に、その堆肥をタックジャパンの顧客農家、現在J-クレジット制度認証農法に参画する約2,000ヘクタール規模の水稲生産者群へ供給する。生産者は松屋由来の堆肥を用いて土壌改善・有機農業を実施し、化学肥料使用量の削減にもつながる。

第三に、「松屋堆肥×J-クレジット制度認証農法」で栽培された国産米を松屋フーズと生産者が直接取引する。中間流通を排除することで生産者の収益性向上と安定調達を両立させる構造を持つ。

第四に、脱炭素農法で育てた国産米を松屋の店頭メニューに採用し、消費者にエシカルな選択肢として届ける。

稲作メタン削減の要

カーボンクレジット創出の核心は、稲作における間断灌漑(AWD)と呼ばれる水管理手法の適用にある。従来の湛水栽培では水田土壌の嫌気発酵によって大量のメタンガスが発生するが、間断灌漑によって田面の乾湿サイクルを制御することで、稲作由来のメタン排出量を約30%削減できる。この削減量は測定・報告・検証(MRV)プロセスを経てJ-クレジット制度のカーボンクレジットとして認証される。

タックジャパンは3年前から同農法の普及を推進しており、現在の参画圃場面積は約2,000ヘクタールに達している。本連携によって、松屋フーズは原材料調達と同時にカーボンクレジットの創出基盤へのアクセスを得る形となる。

食品ロスとカーボンクレジットの複合的価値創造

本取り組みが注目される理由は、農業分野における複数の社会課題をひとつの循環スキームで同時解決しようとする点にある。食品残渣の廃棄ゼロ化(食品ロス削減)、化学肥料代替(有機農業推進)、メタンガス削減(カーボンクレジット創出)、中間流通の排除(サプライチェーン改革)、国産米の安定調達(食料自給率向上)の5つの課題が一体として設計されている。

また、松屋フーズはフードリサイクル業で排出した食品残渣を肥料・飼料に加工する循環モデルをすでに内製化しており、その上に農業側のカーボンクレジット創出を接続することで、Scope3排出量削減への貢献も期待できる構造となっている。

稲作由来のメタン削減は農業分野のGHG対策として国内外で関心が高まっており、本スキームはGX-ETSの進展に伴う企業のScope3対応コストを、サプライチェーン川上でのJ-クレジット制度創出によって内部化しようとする先行事例として評価できる。食品・外食大手が原材料調達とカーボンクレジット創出を同一バリューチェーン内で設計する手法は、今後CBAM対応を迫られる製造業にも応用可能なモデルとなりうる。

参考:https://www.matsuyafoods-holdings.co.jp/2026/03/09/13433/

カーボンクレジット.jp 編集部
カーボンクレジット.jp編集部|2023年末に当時日本初かつ唯一のカーボンクレジット専門情報メディアを立ち上げ。高度な専門性とわかりやすさを追求した翻訳力。