米BKVコーポレーション(BKV Corporation、NYSE:BKV)は6月30日、テキサス州のCotton CoveとEagle Ford、両CCS施設が稼働を開始したと発表した。両施設で年間12万トン超のCO2を新たに地中隔離する。既存のBarnett Zero施設と合わせ、BKVが運営する商業規模のCCS施設は3拠点となった。
Eagle Ford施設は、コペンハーゲン・インフラストラクチャー・パートナーズ(CIP)が運用する「エナジー・トランジション・ファンドI」とのJVのもとで稼働した最初のプロジェクトである。同JVには既にBarnett Zeroが組み込まれており、Eagle Fordの稼働開始でJVの実運転案件は2件目となった。
同施設は、Eagle Fordシェール由来の天然ガスを処理する既存プラント(中流大手が運営)からCO2排出流を買い取り、圧縮のうえ隣接する圧入井へ輸送して地中に永久隔離する仕組みで、年間約9万トンを処理する見込みである。プロジェクトは2024年12月中旬に最終投資決定(FID)に至り、テキサス州鉄道委員会からClass II圧入井の許可を、米国環境保護庁(EPA)からMRV計画の承認をそれぞれ取得した。同施設が生む環境価値は当面BKVが保持する。CIPのカーリス・ポビシルス氏(Karlis Povisils、パートナー)は、JVの戦略と稼働実績を評価するコメントを発表に寄せた。
一方のCotton Cove施設は、フォートワース盆地内でバンプー・パワーUS(Banpu Power US)と共同開発した案件で、BKVが自ら保有・運営する隣接の中流プラントから生じるCO2を、Class II圧入井を通じて地層に圧入する。年間平均の隔離量は約3万2,000トンとEagle Fordより小規模だが、外部プラントからのCO2買い取りに依存しない自己完結型の案件である点が異なる。
BKVは上流の天然ガス生産、中流インフラ、炭素回収・利用・貯留(CCUS)事業を一体で保有する構成を採る。Eagle FordとCotton Coveは、その構成のなかで性格の異なる二つのCCS事業形態にあたる。Eagle Fordは第三者の中流施設からCO2を買い取って商業化する調達型、Cotton Coveは自社インフラ由来のCO2を自ら処理する内製型である。BKV最高経営責任者(CEO)のクリス・カルニン氏(Chris Kalnin)は、この二方式の並行稼働について、統合的な事業モデルの強みを裏付けるものだとコメントした。
BKVは2028年までに年間CO2圧入量150万トンの達成を掲げており、Barnett Zero、Cotton Cove、Eagle Fordの3拠点稼働はその途上の一歩に位置づけられる。今回の稼働開始は新規技術の実証ではなく、既に確立した事業モデルをJVパートナーを変えながら反復適用する段階に入ったことを示している。
今回の発表は、BKVの既存CCS拡大戦略の延長線上にあり、業界構造を転換させる性格の材料ではない。むしろ注目すべきは、同じ垂直統合モデルの内部で、案件ごとにJVパートナーとCO2調達方式を使い分けている点である。
Eagle FordのCIPとのJVは外部中流事業者からCO2を買い取る調達型、Cotton CoveのBanpu Power USとのJVは自社資産からの内製型であり、BKVはこの二形態を組み合わせて案件開発のペースと資本負担を調整している。環境価値を当面BKVが保持する設計も、CCS事業単体でのキャッシュフロー確立を優先する初期段階の資本戦略である。