ベルリン拠点のカーボンクレジットマーケットプレイス、グッドカーボン(goodcarbon)は、匿名の独大手企業のために自然由来カーボンクレジット最大52万トンを調達するグローバルRFI(情報提供依頼)を開始した。対象はARR(植林・再植林・再緑化)20万トン、湿地(マングローブ・泥炭地)16万トン、土壌炭素16万トンの3パスウェイに分かれ、2030年から2040年にかけて年次で供給する長期オフテイクを想定する。
調達要件はエクスポストカーボンクレジットを軸に、ICVCMのコアカーボン原則(CCPs)認証取得済みまたは取得に向けた明確な道筋を持つプロジェクトに限定する。適格な認証機関はベラ、ゴールドスタンダード、アイソメトリック、Plan Vivo、CAR、ACRとされ、品質基準を厳格に設定した設計となっている。
応募は7月10日18時(CET)に締め切られ、8月下旬にショートリスト通知、その後デューデリジェンスを経て第4四半期に契約締結を目指す。
自然由来カーボンクレジットをめぐっては、供給の不確実性や永続性への懸念が指摘され続けてきた。今回のRFIが2030年代を通じた年次供給という長期契約構造を前提にしている点は、単発の購入ではなく、需要側が複数年にわたる調達計画を組めるだけの供給規模が市場に存在するとの見立てを示している。
一方で、52万トンという規模はARR・湿地・土壌炭素の3パスウェイに分散されており、単一のプロジェクトタイプに依存しない調達設計になっている。プロジェクト開発側からみれば、特定パスウェイへの供給集中リスクを回避しつつ、CCPs整合性という共通の品質フィルターを通過する必要がある案件として位置づけられる。
今回のRFIは、自然由来カーボンクレジット市場が新規性の高い技術実証段階を離れ、複数年契約に耐えうる供給体制の構築フェーズに入りつつあることを示す一例として位置づけられる。ICVCMのCCPs整合性を調達の入り口要件に据える設計は、品質担保の主戦場がクレジット発行時点ではなく調達契約の設計段階に移りつつあることを示唆する。
52万トンという規模と2030年から2040年という長期の供給期間は、需要側企業が自然由来カーボンクレジットを単発のオフセット手段ではなく、複数年にわたる気候戦略の構成要素として組み込み始めていることの表れであり、こうした長期オフテイク型の調達が今後の市場拡大の主要な牽引役となるかが論点となる。