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Svante Technologies、カナダのBECCSデベロッパーを買収 先住民族と共同でCDRクレジット商業化へ

2026.03.08 更新 2026.03.09 読了 約5分
Svante Technologies、カナダのBECCSデベロッパーを買収 先住民族と共同でCDRクレジット商業化へ
出典:イメージ

カーボン・アルファ(Carbon Alpha Corporation)の取得でCCS/BECCSの垂直統合を完結

カーボン管理ソリューションの大手、スバンテ・テクノロジーズ(Svante Technologies Inc.)は2026年3月4日、カナダ・カルガリーを拠点とするカーボン・アルファ(Carbon Alpha Corporation)およびその関連子会社を完全買収したと発表した。対象にはカーボン・アルファ・デベロップメント(Carbon Alpha Development Corp.)、ならびにノース・スター・カーボン・ソリューションズ(North Star Carbon Solutions Corp.)への持分が含まれる。

本買収により、スバンテは炭素回収・貯留(CCS)バリューチェーンの上流から下流を一貫して担う、完全統合型の炭素管理プラットフォームを構築した。

先住民族との共同所有モデル

買収の核心となるのが、カーボン・アルファの旗艦案件「ノース・スター・プロジェクト」だ。

サスカチュワン州ミドー・レイクに位置する同プロジェクトは、9つのファースト・ネーションズを代表するミドー・レイク部族評議会(Meadow Lake Tribal Council、以下MLTC)との共同開発によって進められてきた。

プロジェクトの基盤となるMLTCバイオエネルギーセンターは、隣接する製材所から出る持続可能な廃バイオマスを燃焼させ、再生可能な電力と熱を生産する施設だ。バイオエネルギー炭素回収・貯留(BECCS)システムはここに設置され、燃焼由来の生物起源CO2を回収し、塩水帯水層への地質学的注入によって永続的かつ安全に地下貯留する設計となっている。

フェーズ1、年間14万トンのCO2回収と高品質CDRクレジット生成

フェーズ1では、バイオエネルギーセンターの排煙ガスおよびオンサイトの排出源から年間最大14万トンのCO2を回収する計画だ。回収・貯留した量は厳格な測定・報告・検証(MRV)フレームワークのもとで計測・モニタリングされ、高品質かつ耐久性の高いCDRクレジットとして発行される。

プロジェクトはすでにプロアース(Puro.earth)の「地質学的貯留炭素(Geologically Stored Carbon)」方法論の適用パスウェイに沿って開発されており、同プラットフォームに「フューチャー・ファシリティ」として登録済みだ。また、CO2回収施設から貯留地点(ミドー・レイク南西部)をつなぐ専用パイプラインの整備も計画されており、将来的には周辺の生物起源CO2排出事業者のハブとして機能拡大が見込まれる

スバンテとMLTCは本BECCSプロジェクトの共同所有者として事業を運営し、現地雇用・スキル開発・経済的便益の還元をプロジェクト設計の中核に据えている。

規模と誠実性を兼ね備えたCDRへ

スバンテのクロード・ルトゥルノー(Claude Letourneau)社長兼CEOは「このプロジェクトはスバンテにとって飛躍点であり、自然と連携しながら検証可能で耐久性のある工学的炭素除去(CDR)ソリューションを商業規模でスケールさせる重大な転機だ」と述べた。

カーボン・アルファの前CEO、サイモン・ブレガッジ(Simon Bregazzi)氏は「スケーラブルで耐久性の高いBECCSプロジェクトを通じた高品質炭素除去(CDR)の加速こそ、我々のミッションだった。国際的に評価され、資本力のある組織との統合により、より大きなスケールと確実性をもってミッションを推進できる」と語った。

MLTCの部族長ジェレミー・ノーマン(Jeremy Norman)氏は「ノース・スター・プロジェクトは、MLTC既存のグリーン・エネルギーインフラと林業事業に付加価値をもたらし、経済開発・雇用創出・環境リーダーシップを実現する」と期待を示した。

次のステップはFEED(フロントエンド・エンジニアリング設計)調査と試験掘削キャンペーンの実施だ。既にリース空間の確保と試験掘削ライセンスを取得済みであり、最終投資決定(FID)は2027年第1四半期を予定している。

日本においてもBECCSは、GX-ETSや2050年カーボンニュートラルに向けたネガティブエミッション技術として政策的関心が高まっている。ノース・スター・プロジェクトが先住民族との共同所有・便益配分を事業設計に組み込んでいる点は、国内の地域コミュニティとの合意形成モデルとして参照価値が高い。

またプロアースの方法論に準拠したCDRクレジットの発行・販売モデルは、J-クレジット制度の除去系クレジット拡充を検討する日本の政策立案者や、Scope3削減のためにCDRクレジット調達を検討する日本企業にとって、具体的なベンチマークとなりうる事例だ。

参考:https://www.businesswire.com/news/home/20260304605629/en/Svante-Acquires-Carbon-Dioxide-Removal-Project-Developer-Carbon-Alpha-Corp.

関連タグ BECCS CCS CDR
カーボンクレジット.jp 編集部
カーボンクレジット.jp編集部|2023年末に当時日本初かつ唯一のカーボンクレジット専門情報メディアを立ち上げ。高度な専門性とわかりやすさを追求した翻訳力。