カナダの炭素管理企業スバンテ・テクノロジーズ(Svante Technologies Inc.)と、同国サスカチュワン州の先住民族組織ミドー・レイク・トライバル・カウンシル(Meadow Lake Tribal Council、MLTC)は2026年4月6日、両者の合弁事業体ノース・スター・カーボン・ソリューションズ(North Star Carbon Solutions LP)がマイクロソフト(Microsoft)との間でオフテイク契約を締結したと発表した。
契約に基づき、マイクロソフトはサスカチュワン州のノース・スター・バイオエネルギー炭素回収・貯留(BECCS)プロジェクトから、15年間にわたり合計62万6,000トンのCDRカーボンクレジットを購入する。
ノース・スター・プロジェクトは、MLTCが運営するミドー・レイク・バイオエネルギーセンター(MLTC Bioenergy Centre)に併設される形で開発が進む。同センターは、隣接するMLTC所有製材所および周辺林産物工場から排出される廃棄バイオマスを燃料とする再生可能エネルギー発電施設であり、プロジェクトはその排気ガスから炭素を直接回収する仕組みを採用する。
新設される炭素回収プラントはノース・スター・カーボン・ソリューションズが所有し、フル稼働時には年間最大9万トンのCDRカーボンクレジットを創出する見込みだ。回収したCO2はパイプライン等で輸送され、ノース・スターが所有・管理する地質学的貯留サイトに永続的に封じ込められる。回収・輸送・貯留を一気通貫で管理する統合システムにより、炭素除去(CDR)の永続性と追加性が担保される。
スバンテは最終投資決定(FID)まで開発費用をすべて負担し、商業運転は2029年初頭を目標とする。
本契約はマイクロソフトにとってカナダ初のBECCS CDRオフテイク協定であり、かつ先住民族の所有権を伴う同種の契約としても国内初とされる。
マイクロソフトのカーボン除去ポートフォリオ担当ディレクター、フィリップ・グッドマン(Phillip Goodman)は、「耐久性のある貯留と厳格な測定・報告・検証(MRV)を担保するソリューションのスケールアップを支援する必要がある」と述べ、本プロジェクトが長期的なカナダ国内の炭素除去(CDR)基盤整備の呼び水になると位置づけた。
スバンテ・ディベロップメント社長のスコット・ガードナー(Scott Gardner)は、マイクロソフトのアンカーオフテイクコミットメントが「北米BECCSの商業的準備が整いつつあることを市場に示す強いシグナル」だと評した。
ミドー・レイク・トライバル・カウンシルは1981年に設立され、サスカチュワン州北西部の9つのファースト・ネーションズを代表する組織だ。同組織のジェレミー・ノーマン(Jeremy Norman)部族長は、「ノース・スタープロジェクトは土地管理と持続可能な森林経営に対する先住民族の長年のコミットメントを体現するもの」と強調し、雇用創出や地域経済への波及効果を挙げた。プロジェクトは開発・建設フェーズで約50人、稼働後も最大10人の地元雇用を創出するとしている。
CDRカーボンクレジットは独立機関による検証のうえ、適用される炭素除去クレジット基準および強固なMRVの実践に基づいて発行される予定だ。廃棄バイオマスを原料とすることで、土地転換を伴わないライフサイクル上の追加性も確保される。