環境省は2026年6月30日、日・モンゴル間の二国間クレジット制度(JCM)合同委員会で4事業のクレジット発行量を決定し、同日中にパリ協定6条2項に沿ったITMOs 86,564 tCO2eqを日本国JCM登録簿の日本政府保有口座に発行したと発表した。対象はモンゴル国内4件の太陽光発電事業で、いずれも2021年から2025年にかけての稼働分である。
ITMOs発行は2025年11月のタイ、同12月のモルディブ、2026年6月のパラオに続き4か国目となる。半年強で3か国が積み上がったペースは、相当調整の手続きを含めた発行フローが制度として定着しつつあることを示している。
モンゴルは2013年に日本と最初のJCM協力覚書(MOC)を結んだパートナー国であり、今回はその最古参国での初のITMOs発行にあたる。制度発足から10年以上を経て、最初期のパートナー国でも案件がクレジット発行段階まで到達したことは、JCMの案件パイプラインが初期構築フェーズから収穫フェーズへ移行しつつある一つの傍証といえる。
発行されたクレジットは、JCM推進・活用会議が定める相当調整手続きに則ってモンゴル側の削減目標との二重計上を回避したうえで、日本の2030年度NDC達成のためにカウントされる。国別の発行がこの半年で3件連続したことは、6条2項の協力的アプローチとしては世界で最も実績を積んだ制度が、書類上の合意から実際のクレジット移転までを滞りなく回せる段階に入ったことを意味する。
4か国目という数字自体よりも、タイ・モルディブ・パラオ・モンゴルと国の性格も案件規模もばらばらな4件を半年程度の間隔で発行にこぎ着けている点を重く見るべきだろう。相当調整という各国の主権が絡む手続きを、毎回一から交渉するのではなく運用として回せているとすれば、それは6条2項の実務インフラが仕上がってきたことの証左である。
パリ協定6条をめぐる国際交渉が方法論論争に時間を費やしてきたことを踏まえると、JCMの発行実績は「実際に動く制度」としての説得材料になり得る。他国が二国間・多国間の協力的アプローチを設計する際の参照点として、日本の交渉担当者はこの実績をより積極的に対外発信してよい局面にある。