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CDMのArticle6.4移行、大半の対象カーボンクレジットが承認期限に間に合わず

2026.07.01 読了 約3分
CDMのArticle6.4移行、大半の対象カーボンクレジットが承認期限に間に合わず
出典:イメージ

京都議定書のクリーン開発メカニズム(CDM)からパリ協定6条4項に基づくメカニズム(PACM)への移行で、対象カーボンクレジットの大半がホスト国承認の期限に間に合わない見通しとなった。COP30の決定で2025年12月末から2026年6月30日に延期されていた承認期限が到来したが、承認は一部の国に偏ったままだった。

承認期限の経緯

移行請求の期限は、一般案件が2023年12月31日、植林・再植林(A/R)案件が2025年12月31日ですでに終了している。残るホスト国のDNAによる承認は当初2025年12月31日が期限だったが、COP30での決定を経て2026年6月30日24時(中央ヨーロッパ時間)に延期された。承認後に必要となる移行文書の提出期限は2026年12月31日である。

承認は一部の国に偏在

業界分析によれば、移行を請求したCDMクレジットのうち承認済みは、2026年2月時点で潜在量約9.8億トンに対し1.28億トン、13%にとどまる。うち84%はバングラデシュ一国に集中する。

移行請求量が最大規模のインド(潜在量2.17億トン)は同時点で承認ゼロ、参加要件の申請すら決めていない中国を含め、大口の潜在移行国の判断が全体の帰趨を左右する構図になっている。活動件数ベースでも、2025年12月時点でホスト国承認済みの活動はPA77件、PoA29件の計106件、移行対象活動全体の7%にとどまっていた。

品質面での論点

移行を請求した活動の約8割はグリッド接続型再生可能エネルギー方法論を用いる。ベラ(Verra)やゴールドスタンダード(Gold Standard)は2019年以降この種別の新規受け入れを停止しており、ICVCMのコアカーボン原則(CCPs)の審査でも却下されている。

実際、PACMで最初に発行されたカーボンクレジット(ミャンマーのクックストーブ案件、5万8428トン)は、CDM時点の暫定値より4割程度少ない水準だった。より保守的な基準が当初から適用されている。

編集部の視点

今回の期限到来は、業界分析で既に指摘されてきた承認の停滞がそのまま表面化したにすぎない。移行対象の大半が非追加性懸念の強いグリッド接続型再エネ案件だった点を踏まえれば、市場の質という観点ではむしろ望ましい淘汰と位置づけられる。

ただし対象には再エネ以外の方法論も含まれ、正当な削減・除去実績を持つ案件までもが機会を逸失する側面は残る。ホスト国が今後の承認可否をどう線引きするかが、CDM由来カーボンクレジットの供給規模と品質構成の両方を左右する論点となる。

参考:https://unfccc.int/process-and-meetings/the-paris-agreement/paris-agreement-creditingmechanism/CDM_transition

関連タグ CDM パリ協定6条
カーボンクレジット.jp 編集部
カーボンクレジット.jp編集部|2023年末に当時日本初かつ唯一のカーボンクレジット専門情報メディアを立ち上げ。高度な専門性とわかりやすさを追求した翻訳力。