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日タイ環境政策対話でJCM協力を継続確認 ITMOs初発行を実現したタイの供給基盤としての位置づけ

2026.06.29 読了 約3分
日タイ環境政策対話でJCM協力を継続確認 ITMOs初発行を実現したタイの供給基盤としての位置づけ
出典:イメージ

2026年6月12日、日本国環境省とタイ王国天然資源環境省は第5回となる環境政策対話をオンラインで開催した。気候変動対策の分野では、日本側がJCM(二国間クレジット制度)に関する協力について説明し、タイ側はレジリエンス向上プログラムおよびGHG排出削減技術に関する協力を提案した。両国は緊密な意思疎通を継続することで一致した。

合意文言だけを見れば、本件は外交ルートの確認にとどまる。実体的な重みは、日タイ間のJCM協力が2025年後半に具体的な成果段階へ移行した事実の側にある。

2025年11月、日本政府はJCMにおいて初めて、パリ協定6条に沿ったITMO(国際的に移転される緩和成果)を日本国登録簿の政府保有口座に発行した。これは同年10月30日にバンコクで開催された日タイ間JCM第7回合同委員会でのクレジット発行量決定と、タイ政府による国際移転の承認を経て実現したものである。

タイは32の署名国のなかで、6条2項下のITMO移転を最初に実証した国となった。本件対話は、この到達点を踏まえた協力継続の確認と読み取れる。

コリ調整をめぐる供給国側の論点

JCMの設計では、日本へ移転される緩和成果はパリ協定6条に基づき相当調整(コリ調整)の対象となる。日本のNDC達成にカウントされる一方、相当分はタイのNDC達成には計上されない。これにより二重計上が回避される。

ここに供給国側の論点がある。

ホスト国であるタイにとって、自国領域内で実現した排出削減量の一部が自国の気候目標から差し引かれる構造は、緩和成果の主権的な配分をめぐる継続的な交渉対象となる。タイのNDCが今後引き上げられれば、リファレンス排出量の設定余地は狭まり、移転可能な余剰も縮小する。

一方で、JCMはリファレンス排出量を保守的に算定し、技術移転と初期投資負担の軽減を通じてホスト国の脱炭素化に資する設計であり、移転がホスト国の利益を一方的に損なうものではないとの整理もある。

編集部の視点

今回の政策対話は、ITMO初発行という実績の上に立つ協力継続の確認として位置づけられる。

日本のJCM戦略において、タイは制度面と運用面の双方を最初に通過させた実証国であり、6条2項下の供給基盤としての価値は、他の署名国に対する先行事例となる。

ただし、ITMO供給の持続性はホスト国の気候目標の野心度に左右される。

タイのNDC強化と日本向け移転量の確保が両立するかが、日本のNDC達成戦略におけるJCMクレジットへの依存度を規定する。

参考:https://www.env.go.jp/press/press_05136.html

カーボンクレジット.jp 編集部
カーボンクレジット.jp編集部|2023年末に当時日本初かつ唯一のカーボンクレジット専門情報メディアを立ち上げ。高度な専門性とわかりやすさを追求した翻訳力。