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和歌山県、県有林由来のJ-クレジットを販売開始 自治体所有林モデルの先行事例として注目

2026.04.30 読了 約4分
和歌山県、県有林由来のJ-クレジットを販売開始 自治体所有林モデルの先行事例として注目
出典:イメージ

和歌山県は、田辺市龍神村に所在する五百原(いもはら)県有林で創出したJ-クレジット100トンの販売受付を令和8年(2026年)4月22日に開始した。

受付期間は令和9年(2027年)2月26日17時までで、最小販売単位は1トン、販売単価は非公表とされている。同県は令和5年度に同プロジェクトをJ-クレジット制度事務局に登録しており、令和5年度から令和20年度までの16年間で累計7,119トンのカーボンクレジット創出を見込む。

森林経営活動方法論に基づく除去系カーボンクレジット

五百原県有林は、護摩壇山(ごまだんざん、和歌山県の最高峰)の南約1キロメートルに位置し、田辺市・日高川町・御坊市を貫流する日本一長い二級河川・日高川の源流域に広がる森林である。和歌山県は令和5年度、同林を対象とする「和歌山県県有林J-クレジット創出プロジェクト」(プロジェクト番号417、JCS-PJ00417)を制度事務局に登録した。

採用された方法論は、間伐などの森林経営活動を対象とするFO-001(森林経営活動方法論)である。間伐による樹木の成長量に応じた炭素蓄積量(CO2吸収量)をカーボンクレジットとして認証する仕組みで、16年間で累計7,119トンの創出が計画されている。

森林由来のJ-クレジットは、温室効果ガス(GHG)の除去系カーボンクレジットかつ自然由来カーボンクレジットに分類され、長期的な炭素隔離と森林整備に伴うコベネフィット(生物多様性保全、水源涵養、土壌保全など)の双方を提供する点が特徴である。一方で、火災・病虫害・伐採などによる永続性リスクや、森林経営計画に基づく追加性の論証が品質要件として問われる類型でもある。

販売概要と購入条件

販売予定量は100トン、最小販売単位は1トンである。

販売単価は非公表とされ、購入希望者が提出する購入申込書を先着順に審査したうえで、提示された購入単価が県の設定する販売単価以上であれば販売決定となる方式が採用されている。同一事業者からの3回目以降の申込は無効と定められており、特定企業による独占的な大量購入を避ける設計となっている。

販売収入は県有林における森林整備等の財源に充当される。和歌山県は購入者向けの活用用途として、地球温暖化対策推進法(温対法)および省エネ法の報告対応、カーボンオフセット、自社製品・サービスのブランディングなどを挙げている。申込は持参・郵送・メールのいずれでも可能で、納付確認後にレジストリ(登録簿)上での移転または無効化(リタイアメント)処理が実施される。

民有林普及に向けた自治体モデルの先行事例

和歌山県は、本プロジェクトを「国のJ-クレジット制度による森林由来J-クレジットの創出・活用を民有林へ普及するための先行モデル」と明確に位置づけている。林業県として知られる和歌山県にとって、森林資源の有効活用と適切な森林管理の両立は長年の政策課題であり、J-クレジット創出は森林整備財源の確保と企業ニーズへの応答を同時に実現する手段となる。

国内では近年、自治体所有林を活用したJ-クレジット創出の動きが各地で広がっており、自治体側は財源多様化、企業側はカーボンオフセットや環境貢献PR、サプライチェーン排出量への対応手段として、需給双方からの関心が高まっている。

森林由来のJ-クレジットは、GX-ETSが2026年度から本格段階へ移行する局面において、Scope1/2排出量のオフセット手段としての需要が構造的に強まっている領域である。

GXリーグ参加企業や日本気候変動イニシアティブ加盟企業を中心に、追加性永続性・コベネフィットを備えた自然由来カーボンクレジットへの選好が顕在化しており、自治体所有林からの供給はトレーサビリティと公的信頼性の観点で優位性を持つ。

参考:https://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/070700/kenyuurin/Jkurejitto.html

カーボンクレジット.jp 編集部
カーボンクレジット.jp編集部|2023年末に当時日本初かつ唯一のカーボンクレジット専門情報メディアを立ち上げ。高度な専門性とわかりやすさを追求した翻訳力。