本文へスキップ
最新ニュース
オフセット事例

東京都荒川区、本庁舎にJ-クレジット活用のカーボンオフセット都市ガス導入 年間約400トン削減見込

2026.05.01 読了 約3分
東京都荒川区、本庁舎にJ-クレジット活用のカーボンオフセット都市ガス導入 年間約400トン削減見込
出典:イメージ

東京都荒川区は2026年4月、区役所本庁舎にカーボンオフセット都市ガスを導入したと発表した。東京ガスと締結した「ゼロカーボンシティ実現に向けた包括連携協定」に基づく取組であり、本庁舎の都市ガス使用に伴う温室効果ガス(GHG)排出量について年間約400トンの相殺を見込む。

本庁舎の措置は、自治体施設におけるScope1排出のオフセット事例として位置付けられる。

J-クレジット充当で「調整後排出係数ゼロ」を実現

導入されたのは「カーボンオフセット都市ガス(排出係数調整型)」と呼ばれる商品である。都市ガス燃焼時に発生する二酸化炭素(CO2)排出量に相当するJ-クレジットを東京ガスが充当することで、「温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度(SHK制度)」上の調整後排出係数をゼロとして計上できる仕組みだ。

J-クレジット制度は、省エネ機器導入、再生可能エネルギー導入、森林管理などによるGHG排出削減量・吸収量を国が認証する日本独自のベースラインアンドクレジット制度であり、需要家はカーボンオフセットやSHK制度上の排出係数調整に活用できる。

今回の年間約400トンという削減量は、区有施設で発生する都市ガス由来年間排出量の約1割に相当する規模である。

自治体需要が支えるJ-クレジット市場と「除去」を巡る論点

荒川区は2050年GHG排出実質ゼロを掲げる「ゼロカーボンシティ」を表明済みであり、本件はその実現に向けた具体策として位置付けられる。環境省によれば、ゼロカーボンシティを表明する自治体は1,100を超える規模に拡大しており、自治体由来需要はJ-クレジット市場の主要な需要源の一つとなっている。東京ガスをはじめとする都市ガス各社は、こうした需要を取り込む形でカーボンオフセット型ガス商品の供給を拡大している。

ただし、カーボンオフセット型ガス商品はあくまで燃焼に伴う排出を「相殺」する仕組みであり、絶対排出量を物理的に削減するものではない点には留意が必要だ。

J-クレジットには再エネ由来・省エネ由来・森林吸収由来など多様な方法論が存在するが、その多くは回避系・削減系であり、炭素除去(CDR)に該当する除去系クレジットは森林吸収由来などごく限られた方法論に限定される。

自治体・企業による「ゼロカーボンシティ/ネットゼロ」表明と、その達成手段としてのJ-クレジット型カーボンオフセットガスは、日本特有の組合せとして急速に拡大している。一方、Scope1排出のオフセット計上はSBTi基準では原則として削減実績に算入できず、国際的な「除去(CDR)優先」の潮流とも方向性が異なる。

日本企業の本社・拠点でカーボンオフセット都市ガスを採用する場合は、あくまで燃料転換・電化・自家消費型再エネによる物理的削減を主軸に据えた上での補完的措置と位置付け、調達するJ-クレジットの方法論種別・ヴィンテージ・コベネフィットを開示する姿勢が、評価機関対応や開示文脈での信頼性確保において重要となる。

参考:https://www.city.arakawa.tokyo.jp/a024/kankyou/shoene_ondantaisaku/carbonoffset_toshigas.html

カーボンクレジット.jp 編集部
カーボンクレジット.jp編集部|2023年末に当時日本初かつ唯一のカーボンクレジット専門情報メディアを立ち上げ。高度な専門性とわかりやすさを追求した翻訳力。