東邦ガス株式会社は2026年4月21日、岐阜県可児市と「ゼロカーボンシティの実現に向けた取り組みに関する連携協定」を締結したと発表した。
本協定に基づき、家庭用燃料電池システム「エネファーム」および家庭用太陽光発電システムによるCO2排出削減量をJ-クレジットとして認証取得し、その環境価値を可児市域内の脱炭素施策に還流させるプロジェクトを開始する。岐阜県内におけるエネファーム由来のCO2排出削減量のJ-クレジット化は、東邦ガスとして初の取り組みとなる。
協定書に明記された連携事項は次の四点である。
すなわち、ゼロカーボンシティの実現に資する取り組み、環境価値の創出および活用に資する取り組み、環境意識や行動変容に係る市民への啓発・広報活動、その他、協定の目的達成に向けて双方が必要と認める取り組み、の四項目である。協定締結式は本日、可児市役所において開催され、東邦ガス側は村田純一岐阜地域支配人、可児市側は肥田光久副市長が出席した。
本プロジェクトの中核は、可児市内の一般家庭に設置されたエネファームと太陽光発電システムが生み出すCO2排出削減量を、東邦ガスがプログラム型のJ-クレジットとして束ね、認証・発行・活用までを一気通貫で担う点にある。
エネファームは、都市ガスから取り出した水素と空気中の酸素を反応させて発電し、発電時に生じる排熱を給湯にも利用する分散型エネルギーシステムである。系統電力と従来型給湯器の組み合わせと比較して一次エネルギー消費量およびCO2排出量を削減できる。家庭用太陽光発電システムも同様に、系統電力代替分のCO2排出量を削減する。これらの削減量は、国が認証するJ-クレジット制度のもとで定量化・第三者検証を経てカーボンクレジットとして顕在化し、カーボンオフセット等の用途に活用可能となる。
東邦ガスはこれまで、愛知県・三重県を中心にエネファーム由来のJ-クレジット創出スキームを展開してきたが、岐阜県内での実施は今回が初めてとなる。中部圏を地盤とする都市ガス事業者として、機器販売や保守ノウハウに加え、削減量の集計・認証手続きまでを担うことで、自治体単独では実装が難しい家庭部門のJ-クレジット化を可能にしている。
可児市側にとっては、市域内で創出された環境価値を市の脱炭素施策に活用できる点が大きい。創出されたカーボンクレジットは、市の事務事業のカーボンオフセットや、地元企業・市民向けの脱炭素啓発プログラムへの活用が想定される。環境価値を市域外に流出させず、地域内で循環させる「環境価値の地産地消」モデルとして位置づけられる。
家庭部門は日本のエネルギー起源CO2排出量の約15%を占めるが、個々の削減量が小さくMRVコストが相対的に高いため、ボランタリーカーボンクレジット市場では従来扱いにくい領域とされてきた。
都市ガス事業者がアグリゲーターとして家庭の削減量を束ねるプログラム型J-クレジットは、この課題に対する現実解として確立しつつあり、東邦ガスに加え東京ガス・大阪ガスも同様のスキームを展開している。
参考:https://www.tohogas.co.jp/corporate-n/press/1258323_1342.html