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InSoil、EIF保証付き与信で1.2億ユーロを調達 欧州農業SME向け融資を拡大

2026.07.01 読了 約3分
InSoil、EIF保証付き与信で1.2億ユーロを調達 欧州農業SME向け融資を拡大
出典:イメージ

欧州の気候金融企業インソイル(InSoil)は、ポーレン・ストリート・キャピタル(Pollen Street Capital)から1億2,000万ユーロ(約222億円)のシニア・セキュアード・クレジット・ファシリティを確保した。同社はリトアニア・ヴィリニュスを拠点とし、持続可能な農業への移行を支援する中小企業向け融資を手がける。

調達資金は、不耕起栽培やカバークロップ、輪作の多様化、化学肥料使用量の削減といった持続可能な農法へ転換する農業中小企業向けの中期債務資金の供給拡大に充てられる。融資の裏付けとなるのは、EUの投資プログラム「InvestEU」のもとで欧州投資基金(EIF)が提供する保証であり、公的保証付きスキームという構造が本件の核となる。

この与信構造が意味を持つのは、農業中小企業向け融資が伝統的な銀行融資では十分に対応されてこなかった領域だからである。欧州投資銀行は、この分野の年間資金ギャップを620億ユーロ(約11兆4,700億円)と試算しており、EIF保証はこうした構造的な資金供給不足を補完する役割を担う。

インソイルのライモナス・ノレイカ(Laimonas Noreika)最高経営責任者は、「欧州農業は新たな投資サイクルに入りつつある」とコメントし、持続可能な農業が機関投資家にとって投資可能な資産クラスになったとの見方を示した。ポーレン・ストリートのポール・バーティー(Paul Varty)投資ディレクターも、EIF保証による構造的な保護を評価するコメントを寄せている。なお本件をめぐり「欧州の持続可能な農業融資として過去最大級の民間クレジット」とする評価は同社発表によるものであり、外部評価として確認された事実ではない。

インソイルは2020年の事業開始以来、3,500社超の農業中小企業に融資してきたとしており、その過程で収集した1万5,000件超の土壌サンプルを、与信審査とVCS(Verra運営)に基づく自然由来カーボンクレジットの発行の双方に活用している。

本件は、公的保証を組み込んだブレンデッドファイナンス構造が、農業分野における気候関連与信の担い手として機能している一事例として位置づけられる。カーボンクレジット発行はインソイルの事業の一部にとどまり、本件自体はEIF保証付き与信という金融構造の拡大が主題である。

EIF保証のような公的信用補完の仕組みは、農業SME向け融資という高リスク・低流動性の領域に機関投資家資金を呼び込む手段として、今後も同様の事例が積み重なる可能性がある。ただし、この種の構造が農業分野のカーボンクレジット供給拡大に直結するかどうかは、本件のみからは判断できない。

参考:https://insoil.com/blog/2026/06/30/insoil-secures-e120m-facility-from-pollen-street-to-scale-agri-sme-lending-across-europe/

カーボンクレジット.jp 編集部
カーボンクレジット.jp編集部|2023年末に当時日本初かつ唯一のカーボンクレジット専門情報メディアを立ち上げ。高度な専門性とわかりやすさを追求した翻訳力。