ベトナムは6月29日、国内初となるカーボン取引所を開所し、初日の取引を開始した。ハノイ証券取引所(HNX)で運営されるこのパイロット市場は、鉄鋼やセメント、火力発電など温室効果ガス排出量の多い業種を対象とした排出枠取引制度であり、2050年ネットゼロ目標に向けた国内制度整備の一環と位置づけられる。
初日の取引では、排出枠コードVN2025のもと1,200トン超のCO2eが取引された。価格は1トンあたり最高13万6,000ドン(約5.17ドル、約840円)まで上昇したのち、13万ドン(約4.95ドル、約804円)で終値を付けた。取引総額は約6,150ドル(約100万円)にとどまった。
制度の対象は2025〜2026年の第1期で、火力発電、鉄鋼、セメントの3業種に計5億1,100万トン超の排出枠が割り当てられた。対象は92社で、ベトナム電力(EVN)やPVパワー(PV Power)、鉄鋼のホア・ファット(Hoa Phat)とフォルモサ(Formosa)、セメントのビセム(Vicem)などが含まれる。割当を超過した企業は他社から排出枠を購入するか、カーボンクレジットで超過分の最大30%を相殺できる。取引所は6社の証券会社を通じて参加者を仲介し、2028年末まで取引手数料を無料としたうえで、2029年に本格運用へ移行する計画である。
初日の出来高1,200トン、取引総額約100万円という規模は、制度の実効性を測るには小さすぎる。
この程度の取引量は稼働初期のシステム検証段階として想定の範囲内であり、実際の脱炭素効果は今後の参加企業拡大と流動性次第である。ベトナムに生産拠点を持つ日系製造業各社は、鉄鋼やセメント、電力といった排出量の多い業種がすでに規制対象に組み込まれている実態を踏まえ、割当量の算定方法とカーボンクレジットによる相殺ルールを早期に確認しておくべきだ。
参考:https://www.vietnam.vn/en/viet-nam-khai-truong-san-giao-dich-carbon-trong-nuoc