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日本郵船・千代田化工建設・KNCC、CCS輸送バリューチェーン構築でMOU締結

2026.04.02 更新 2026.04.07 読了 約4分
日本郵船・千代田化工建設・KNCC、CCS輸送バリューチェーン構築でMOU締結
出典:イメージ

日本郵船株式会社、千代田化工建設株式会社、およびノルウェーの海運会社クヌートセン・NYK・カーボン・キャリアーズ(Knutsen NYK Carbon Carriers AS、以下KNCC)は2026年3月31日、炭素回収・貯留(CCS)に関する国際プロジェクトへの協業に向けた覚書(MOU)を締結した。

国内外のCCSプロジェクトにおける液化CO2(LCO2)輸送の最適化を中心に、バリューチェーン全体の事業化を目指す。

LCO2海上輸送の最適化が協業の核心

今回のMOUは、CCSプロジェクトの事業化に不可欠な「輸送」工程の高度化を主眼とする。CCS実用化においては、CO2の回収地点から貯留地点までをつなぐ海上輸送インフラが特に重要であり、パイプライン整備が困難な国境をまたぐ場面では海運の役割がいっそう大きくなる。

三社は概念検討から事業化までのすべての段階、コンセプトスタディ、フィジビリティスタディ(FS)、基本設計(Pre-FEED/FEED)、そして設計・調達・建設(EPC)において協力体制を構築する方針を示している。

各社の役割分担は以下のとおりである。

  • 千代田化工建設:CO2回収・液化・一時貯留を含む陸上ターミナルの設計および法規制対応
  • 日本郵船:低圧(LP)・中圧(MP)・高圧(EP)各モードによるLCO2の海上輸送検討およびプロジェクト全体調整
  • KNCC:LCO2海上輸送・洋上直接圧入の検討、ならびに液化・一時貯留・圧入向け浮体式設備の検討

2024年の共同研究が礎に

今回の協業は、2024年に三社が共同実施した定量評価研究を基盤としている。同研究では、LP・MP・EPの3方式にわたるLCO2輸送オプションについて、バリューチェーン全体のコストおよびスケジュールを横断的に評価し、社会実装上の課題を整理した。

この成果は2024年3月4日、CO2回収・利用・貯留分野の国際シンクタンクであるグローバルCCSインスティテュート(Global CCS Institute)が主催した「Japan CCS Forum Technical Seminar」で発表されている。

三社はこの知見を各CCS事業者のプロジェクトに応じたバリューチェーン検討に活用し、技術的・経済的側面の双方から統合ソリューションを提供する。また、CCSプロジェクトのファイナンサビリティ向上と国境を越えたCO2輸送ソリューションの標準化にも取り組む方針を示した。

各社の強みとCCSへの姿勢

千代田化工建設は、CO2削減・利用ソリューションにおける豊富な実績を持つ総合EPCエンジニアリング企業であり、プロジェクト開発の初期段階から顧客と共創する「ビジネス共創」モデルを掲げる。

日本郵船株式会社は1885年創業の総合海運会社であり、世界最大規模の輸送ネットワークを運営する。近年は脱炭素事業への参入を積極的に推進し、新たな事業価値の創出を目指している。

KNCCはノルウェー・ハウゲスンを拠点とし、独自のLCO2-EPテクノロジー(液化・陸上貯留・浮体式設備・海上輸送を統合)によるCCS効率化に特化した企業である。最高経営責任者はオリバー・ヘーゲン・スミス(Oliver Hagen-Smith)氏が務める。

本MOUは、日本のCCS産業政策が「国内の点」から「国境をまたぐバリューチェーン」へと移行する局面で締結された点で注目に値する。

GX推進法やCCS事業法の整備が進む中、LCO2の海上輸送標準化と輸送コストの可視化は、国内外のCCS案件のファイナンサビリティを左右する核心課題である。

国内企業がEPC・海運・浮体技術を垂直統合して国際プロジェクトに臨む本スキームは、日本が「CCS輸送ハブ」としてのポジションを確立するための有力なモデルとなり得る。

参考:https://www.nyk.com/english/news/2026/20260331_01.html

カーボンクレジット.jp 編集部
カーボンクレジット.jp編集部|2023年末に当時日本初かつ唯一のカーボンクレジット専門情報メディアを立ち上げ。高度な専門性とわかりやすさを追求した翻訳力。