ペトロブラス(Petrobras)は大豆油を原料とする持続可能な航空燃料(SAF)の商業ロットを製造・販売した。大豆由来SAFがCORSIA低ILUCリスク認証を取得したのは世界初となる。
原料の大豆油はバンジ(Bunge)が供給し、完成ロットはヴィブラ(Vibra)が購入した。製造はリオデジャネイロのデュキ・デ・カシアス製油所(Reduc)で、既存設備に再生可能原料を組み込むコプロセシング方式により行われた。数量は3,800m³、再生可能由来の含有率は1%である。
この1%という水準は、ブラジルの燃料の未来法が国内航空向けに定める初期段階の削減義務に整合する。
CORSIA低ILUCリスク認証は、原料となる大豆が森林破壊地由来ではなく、かつ間接的な土地転換を誘発していないことを担保する。ペトロブラスはバンジの再生農業プログラムを通じ、農場レベルの一次データを確保した。
業界分析によれば、この一次データの活用により、標準値を用いた場合は約30%にとどまる削減率を約70%まで引き上げたとされる。
本件で削減効果を左右したのは、燃料そのものの物理的属性よりも、原料調達段階のデータ精度である。
ペトロブラスは今回の取り組みについて、供給網に検証可能な持続可能慣行の採用を促す狙いがあると説明している。
関連報道によれば、ペトロブラスは認証取得済みの製油所群の拡張により、2029年まで国内のSAF需要を充足できると見込む。大豆油の追加は、同社にとってSAF製造原料の多様化と生産プロセスの柔軟性確保を意味する。
本件の要点は、SAFの原料種類が一つ増えたことよりも、削減量の算定根拠が標準値から農場レベルの一次データへ移行した点にある。
同一の原料・工程であっても、計上できる削減率はデータの精度次第で大きく変わる。CORSIA適合燃料の価値は、燃料の物理的属性のみならず、トレーサビリティとMRVの厳格さによって決まる。これは、高品質なカーボンクレジットが追加性と測定の厳格さによって価値を分けるのと同じ構造である。大豆由来という原料区分の新規性以上に、調達データの精度が削減効果の上限を規定する点が、今後のSAF評価を左右する。
参考:https://agencia.petrobras.com.br/w/negocio/petrobras-comercializa-primeiro-lote-de-saf-produzido-a-partir-de-óleo-de-soja-com-certificação-corsia-fornecido-pela-bunge