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「バイオマス直接貯留」推進連合が発足 炭素除去の新経路として業界横断の協調体制を構築

2026.03.21 更新 2026.03.24 読了 約5分
「バイオマス直接貯留」推進連合が発足 炭素除去の新経路として業界横断の協調体制を構築
出典:イメージ

カーボンビジネスカウンシル(Carbon Business Council)は、バイオマス直接貯留(Direct Storage of Biomass、以下DSB)を炭素除去(CDR)の新たな主力経路として確立するため、業界横断型ワーキンググループ「DSBコアリション(DSB Coalition)」の発足を公表した。

プロジェクト開発事業者、技術プロバイダー、政策専門家が一体となって共通基準の策定と普及促進を進める。

廃棄バイオマスを永続的な炭素隔離に転換する手法

DSBとは、森林廃材やコーンストーバーなど農業残渣、バイオ炭、その他の植物性・生物由来有機物を地中または密閉された地下貯留層・坑井に耐久的に貯留することで、バイオマスがかつて大気から吸収したCO2を活性炭素サイクルから切り離す炭素除去(CDR)手法である。

「陸域バイオマス貯留」とも称され、既存の農林業・バイオマス処理インフラをそのまま活用できる点がバイオエネルギー炭素回収・貯留(BECCS)や直接空気回収・貯留(DACCS)と比較した際の優位性とされる。

三つの優先課題

DSBコアリションはカーボンビジネスカウンシルが主宰し、議長にはリーディングカーボン / クリアスカイリミテッド(Leading Carbon / Clear Sky Limited)のパートナー、キース・ドライバー(Keith Driver)氏が就いた。

参加メンバーは以下の通りである。

ブルーフォレスト(Blue Forest)、カーバ(Carba)、カーボンロックダウンプロジェクト(Carbon Lockdown Project)、カーボンセート(Carbonsate)、エコエンジニアーズ(EcoEngineers)、グラファイト(Graphyte)、アイソメトリック(Isometric)、リーディングカーボン / クリアスカイ(Leading Carbon / Clear Sky)、リビングカーボン(Living Carbon)、マストリフォレステーション(Mast Reforestation)、ネイチャーフォーカス(Nature Focus)、プロアース(Puro.earth)、リワインド(Rewind)、タウカーボン(Tau Carbon)、ティンバーターン(Timber Turn)、ボールテッドディープ(Vaulted Deep)、ウッドキャッシュ(Woodcache)の計17団体・企業。

コアリションが優先的に取り組む課題は以下の三点に整理されている。

  1. DSBの包括的なイシューブリーフの公表
    DSBの仕組み、気候・土地利用政策における位置づけ、責任ある普及に必要な要件を体系的に整理した文書を刊行する。
  2. カーボンクレジット購入者・ステークホルダーへの教育・啓発
    分散型炭素除去(CDR)ポートフォリオにおけるDSBの役割、スケーラビリティ、耐久性、コベネフィット(Co-benefit)を含む、について幅広い理解促進を図る。
  3. 責任ある調達と長期管理フレームワークの構築
    森林・農業・土地管理との統合を念頭に、バイオマスの持続可能な調達と長期スチュワードシップの枠組みを策定する。

「個別プロジェクトから産業全体の成果へ」

カーボンビジネスカウンシルのエグゼクティブ・ディレクター、ベン・ルービン(Ben Rubin)氏は発足にあたり次のように述べた。「DSBは、すでに実践されている森林・農地の管理手法を基盤として構築されており、それがこの手法の説得力の源泉だ。大気からCO2を隔離しながら、土地の適切な管理、地域経済の支援、気候目標の達成を同時に実現できる経路であり、このコアリションはDSBに厳密さ・透明性・連携をもたらすことを目的としている」。

コアリション議長のドライバー氏は、産業化に向けた協調の必要性をこう強調した。「DSBが重要なのは、議論の焦点を個別プロジェクトから産業全体の成果へとシフトさせる点にある。DSBは既存の農林業・バイオマスサプライチェーンを活用できるため急速にスケールする可能性を持つが、責任ある拡大には共通基準とオープンな協働が不可欠だ。測定・報告・検証(MRV)から広報・政策調整に至る共通課題を解決し、耐久性のある炭素除去(CDR)が信頼できる気候インフラの一部となるよう、業界が一体となって前進する。それがこのコアリションの設計思想だ」。

山火事リスク低減から地域経済創出まで

DSBプロジェクトは純粋な炭素隔離にとどまらず、より広範な土地管理戦略と統合することで複数のコベネフィット(Co-benefit)をもたらすとされる。具体的には、山火事リスクの低減生態系の回復支援農村部・先住民コミュニティへの新たな経済機会の創出が挙げられる。コアリションは、経路のスケールアップと並行して、コミュニティとの実質的な関与、環境保全措置、透明性の高い測定・報告・検証(MRV)の重要性を強調していく方針だ。

カーボンビジネスカウンシルはDSBコアリションを、大気・陸域・岩石・海洋にまたがる炭素除去(CDR)のスケールアップという包括的構想の一環として位置づけており、統一された炭素除去(CDR)エコシステムとしての業界全体の強化を目指している。

参考:https://www.carbonbusinesscouncil.org/news/dsbcoalition

関連タグ CDR バイオ炭
カーボンクレジット.jp 編集部
カーボンクレジット.jp編集部|2023年末に当時日本初かつ唯一のカーボンクレジット専門情報メディアを立ち上げ。高度な専門性とわかりやすさを追求した翻訳力。