Web3・ブロックチェーン技術を活用した気候変動対策を推進するKlimaDAO JAPANは、2026年3月3日〜6日に東京・丸の内の丸ビルで開催されたフィンテック・カンファレンス「FIN/SUM 2026」において、リアルタイム・カーボンオフセットツール「AnyOffset(エニーオフセット)」の実証デモを実施した。
同社によれば、小口化されたカーボンクレジットをその場でリアルタイムにリタイアメント(償却)できるツールとしては日本初となる。
KlimaDAO JAPAN代表取締役の濱田氏は3月4日、金融庁サステナブルファイナンス推進室が主導するパネルディスカッション「テクノロジーが拓くサステナブルな選択:デジタル技術が個人の投資・消費行動にもたらす可能性」(丸ビル7階 HALL A)に登壇した。ブロックチェーン技術を活用したボランタリーカーボンクレジット市場の透明性向上と、個人を含む幅広い主体が気候変動対策へ参加できる仕組みの可能性について議論した。
FIN/SUMは金融庁と日本経済新聞社が共催する国内最大級のフィンテック・カンファレンスであり、今年で10回目の開催。今回のテーマは「AI×ブロックチェーンが創る新金融エコシステム」で、国内外から多数の有識者・企業が参加した。
AnyOffsetは、トークン化カーボンクレジットをユーザーがスマートフォンのQRコード読取のみで小口購入・即時リタイアメント(償却)できるツールである。今回のデモでは、岐阜県の森林由来のJ-クレジットを採用し、参加者1人あたり1kgのCO2をカーボンオフセットできる仕組みを提供した。ブロックチェーン上のトランザクション記録によれば、当日は60名以上が参加したことが確認されている。
利用フローは以下のとおりである。
一連のトランザクションはすべてブロックチェーン上で処理されるため、カーボンオフセットの測定・報告・検証(MRV)の透明性とトレーサビリティが確保される。また、オフセット実績は個人の「スコア」として蓄積され、継続的な行動変容を促すインセンティブ設計となっている。
同社はこれまで「IVS KYOTO」「DAO TOKYO」等のイベントでカーボンオフセットサービス「tancre」を提供してきており、AnyOffsetはその知見を踏まえた次世代版として開発された。ReFi(再生型金融)の文脈においても、ブロックチェーンとカーボンクレジット市場を接続する実装事例として注目される。
同社は今後、以下の2つのユースケースでの活用拡大を見込んでいる。
自治体による地域施策への活用では、地域で創出されたJ-クレジットをAnyOffsetに組み込み、公共施設や商業施設・地域イベントにQRコードを設置することで住民参加型の脱炭素施策を実現する。カーボンクレジットの調達・リタイアメント(償却)プロセスを住民が直接体験できる点が特徴となる。
企業と一般市民をつなぐBtoC調達モデルでは、企業が展開するカーボンオフセットキャンペーンに消費者やイベント参加者を取り込む。従来、BtoB取引に限定されてきたカーボンクレジット市場に個人接点を生み出すことで、ボランタリーカーボンクレジット市場の流動性向上にも寄与することが期待される。
AnyOffsetの実証は、日本のボランタリーカーボンクレジット市場において長らく課題とされてきた「個人アクセスの困難さ」と「リタイアメント(償却)記録の不透明性」に対し、ブロックチェーンとJ-クレジット制度の組み合わせで直接アプローチする試みとして評価できる。
GX-ETS参加企業にとっては、自社のScope3削減策の一環として従業員・顧客を巻き込むカーボンオフセット施策への応用可能性があるだろう。
参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000014.000137021.html