気候変動ソリューション企業のウォーターシェッド(Watershed)は2026年3月9日、同社として2回目となる炭素除去(CDR)カーボンクレジット調達リクエスト・フォー・プロポーザル(RFP)を正式に公開した。
プロジェクト開発者からの応募受付を2026年4月10日まで受け付け、選定されたサプライヤーは同社が集約する企業バイヤーコホートとの長期購買契約を得る機会を持つ。
ウォーターシェッドは現在、フォーチュン500(Fortune 500)企業90社、米国主要銀行上位6行のうち5行を含む800社超のグローバル企業の気候調達需要を集約している。同社の掲げる目標は、2030年までに顧客企業と協働してCO2換算で5億トンの排出削減・除去を実現することであり、これは世界の年間排出量の約1%に相当する。
これまでに、ウォーターシェッドの顧客企業群は炭素除去(CDR)、クリーンエネルギー、持続可能な航空燃料(SAF)にまたがるプロジェクトへ合計1億2,000万ドル(約190億円)を拠出している。
2025年に実施された第1回RFPでは、55カ国・17の炭素除去(CDR)経路にわたる300件超のプロジェクト提案が集まり、目標調達量はCO2換算で100万トンに設定された。
選定されたサプライヤーは、購買意思を事前確約したバイヤーコホートと100件超の購買契約を締結。なかには単一のサプライヤーが約16万トン分の購買契約を獲得した事例、また5社の新規顧客とRFPサイクルを通じて契約関係を構築した事例も生まれた。個別の契約額は100万ドル(約1億5,800万円)超に達したものもあった。
森林再生プロジェクト開発者のトロト(Toroto)のカーボン担当ディレクター、ホセ・レイエス(José Reyes)氏は、「RFPを通じて多様なバイヤーとつながることができ、売上の73セント以上が気候行動とコミュニティ便益に直接還元されている」と述べ、調達の透明性と地域便益(コベネフィット)の高さを強調した。
今回のRFPが対象とするカーボンクレジットのカテゴリーは以下の3種類である。
ウォーターシェッドは、プロジェクトのデューデリジェンス、契約管理、納品プロセスをバイヤー側に代わって一括管理することで、従来の二国間交渉に伴う商業的不確実性とコストを削減する仕組みを提供している。選定サプライヤーには、複数バイヤーとの長期・複数年契約へのアクセスが開かれる。
3月19日には第1回RFPの知見を共有するウェビナーが開催される予定であり、応募締め切りは太平洋標準時4月10日23時59分。
本RFPモデルは、ボランタリーカーボンクレジット市場における需給マッチングの構造的課題、すなわち、プロジェクト開発者と企業バイヤー間の情報の非対称性、交渉コスト、長期契約の欠如に対応する調達革新として注目される。需要の集約によってプレパーチェスカーボンクレジット的な性質を持つ長期購買コミットメントを形成し、プロジェクトファイナンスの確実性を高める点が特徴的である。
ウォーターシェッドのRFPモデルは、GX-ETS第2フェーズへの移行を見据える日本企業にとって、Scope3排出量の削減・除去に向けた高品質なカーボンクレジット調達の一手段として参照価値が高い。
二国間クレジット制度(JCM)における対応調整との整合性を担保しつつ、こうした民間主導の調達イノベーションをいかに国内政策と接続するかが問われている。