ボリビアを拠点とするバイオ炭(biochar)の炭素除去(CDR)専業企業、エクソマッド・グリーン(Exomad Green)は2026年3月3日、カーボンクレジット認証プラットフォームのプロアース(Puro.earth)が認証するCO2除去証明書(CORC)の累計納入量が30万トンを突破したと発表した。
これはプロアース・レジストリ(登録簿)において、これまでに発行された全炭素除去量の約20%に相当し、同社を「納入済み耐久性CDRカーボンクレジットの世界最大サプライヤー」として確立するものである。
エクソマッド・グリーンの納入実績は、ボランタリーカーボンクレジット市場における耐久性CDRセグメントの急成長を如実に示している。
2023年から2025年にかけての年平均成長率(CAGR)は約228%に達し、2025年12月単月には過去最高となる48,550トンを納入した。2026年は単年で30万トン近くの納入を見込んでおり、バイオ炭を基盤とする炭素除去の急速なスケーラビリティを改めて証明する形となっている。
累計30万トンのCORCを購入した企業には、マイクロソフト(Microsoft)、スイス・リー(Swiss Re)、ネクストジェン(NextGen)、ショッピファイ(Shopify)など、長期的な気候戦略の一環として高品質・永続性のある炭素除去を確保しようとするビッグテック・金融大手が名を連ねる。
エクソマッド・グリーンは現在、ボリビア国内に2つの稼働中施設を持ち、第3施設を建設中である。
コンセプシオン(Concepción)施設は年産6万トンから14万トンへと拡張済み。リベラルタ(Riberalta)施設は熱分解ラインを倍増させ、年産6万トンから12万トンへ能力を増強した。さらに、グアラヨス(Guarayos)地域で建設が進む第3施設は、年産32万トン規模を見込み、完成時には世界最大のバイオ炭生産施設となる予定である。3施設が揃う2027年には合計年産100万トンの炭素除去体制が整う計画だ。
発行済みCORCは、プロアース・スタンダードに基づく第三者独立検証を経て発行されている。エクソマッド・グリーンは、本来であれば野焼きや自然分解されるはずの持続可能な森林残材を先進的な熱分解技術によりバイオ炭へ転換し、数百年単位の長期炭素隔離を実現する。
プロアースはICVCM適格カーボンクレジット認証プログラムであり、測定・報告・検証(MRV)の厳格性と透明性においてボランタリーカーボンクレジット市場の最高水準を維持している。
同社の環境・社会的コベネフィット(Co-benefit)も際立つ。バイオ炭生産により2021年以降のコンセプシオン地域における急性呼吸器感染症が89%減少したとされるほか、生産されたバイオ炭の100%が地域農家・先住民コミュニティに無償提供され、土壌改善と農業収量の向上に貢献している。
エクソマッドのCEOであるディエゴ・フスティニアーノ(Diego Justiniano)は「耐久性のある炭素除去はもはや理論ではなく、産業規模で実装可能であり、測定可能な気候インパクトを生み出している」と述べた。プロアース代表のヤン=ウィレム・ボーデ(Jan-Willem Bode)も「適切な技術・厳格性・運用規律が揃えば、耐久性のあるCDRがいかに迅速にスケールできるかを証明した」と評価した。
エクソマッド・グリーンの躍進は、GX-ETS第2フェーズを見据えた日本企業にとって示唆に富む。マイクロソフトやスイス・リーが購入するような「耐久性・永続性の高い除去系カーボンクレジット」への需要は、Scope3排出量の中和手段として国際的に評価基準が厳格化する中で一層高まっている。
日本企業大手がバイオ炭CDRを自社のカーボンオフセットポートフォリオに組み込む動きは今後加速する可能性があり、プロアース認証CORCの調達可能性と信頼性の観点からも市場動向を注視すべきである。