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2026年の耐久性炭素除去市場を展望 ClimeFiが最新RFPデータに基づく分析を公開

2026.03.13 読了 約5分
2026年の耐久性炭素除去市場を展望 ClimeFiが最新RFPデータに基づく分析を公開
出典:ClimeFi

カーボンクレジット仲介・調達プラットフォームを運営するクライムファイ(ClimeFi)は、2025年12月に実施した耐久性炭素除去(CDR)に関する提案依頼書(RFP)のデータを基に、2026年のCDRクレジット市場に関するインサイトレポートを公開した。

39カ国・142プロジェクトから見えた市場像

今回のRFPには、39カ国の114サプライヤーから142件のプロジェクトが提出された。対象となった炭素除去(CDR)経路は、バイオ炭直接空気回収・貯留(DACCSバイオエネルギー炭素回収・貯留(BECCS、その他バイオマス系、海洋炭素除去(mCDR、鉱物化など多岐にわたる。バイオ炭が提出件数の50%を占め、DACCSが15%、BECCSが11%と続いた。地域別では北米が41%と最大のシェアを占め、アジア太平洋(28%)、アフリカ・中東(15%)、欧州(10%)、南米(6%)が続く構成である。

供給逼迫と価格収斂が同時進行

クライムファイの分析によれば、2030年までの供給能力は大幅な拡大が見込まれるものの、2026年から2030年にかけての未予約供給量は全体の58%にとどまる。特に2026年は52%と最も逼迫した状況にある。

予約済み供給量にはサプライヤーが戦略的に確保している分も含まれるが、いずれのヴィンテージでも供給の半分程度しか自由に調達できない状態は、バイヤーが短期のみならず中長期にわたって先行的に供給を押さえていることを示唆している。

価格面では、経路内での価格収斂が加速している。サプライヤーが実際に操業を開始し、第三者検証を取得し、トラックレコードを積み上げたことが背景にある。クライムファイは2025年6月と12月に実施した2回のRFPデータの比較から、この収斂傾向をすでに確認している。

ただし、CDRクレジット市場は依然として初期段階にあり、成熟した経路であるバイオ炭では収斂の兆候が見られる一方、測定・報告・検証(MRV)の方法論、品質ベンチマーク、規制枠組みの整備が進行中であり、サプライヤーの価格戦略に影響を及ぼし続けている点には留意が必要である。

全経路で商業化段階が66%に到達

サプライヤーの成熟度を示す指標として、全経路にわたり66%のプロジェクトが商業化段階に到達している点が注目される。バイオ炭は参入障壁の低さから商業展開が最も進んでいるが、プロジェクト品質のばらつきは依然として大きい。一方、DACCSは開発段階の分布が最も広く、実証段階から商業規模への移行期にあることを示しており、バイヤーからの関心も高い。

海洋炭素除去(mCDR)については、今回のRFPにプロトタイプ段階のプロジェクトは1件も提出されておらず、経路としては新興ながらも、先行プロジェクトがすでに実績を積み上げていることが読み取れる。

2026年はバイオマス依存からの脱却元年

2025年のCDRクレジット発行実績はバイオ炭とBECCSが全体の93%を占める構造であった。2026年はこの状況に構造的変化が生じる見通しである。バイオ炭は依然として供給の36%を担う見込みだが、大規模DACCSおよびBECCSプロジェクトの稼働開始に加え、岩石風化促進(ERW)や海洋炭素除去(mCDR)の小規模プロジェクトがオンライン化することで、供給源の多様化が進む。

具体的には、DACCS分野のストラトス(Stratos)およびBECCS分野のグリーンプレインズ(Green Plains)が2026年中に市場参入し、納入の中核を担うことが期待されている。クライムファイは、2026年のCDRクレジット総納入量が前年比43%増になると予測している。

レジストリ間の競争が激化、16%のプロジェクトが未選択

プロジェクトの成熟と並行し、基準策定団体やレジストリ(登録簿)も進化を遂げている。ICVCMのコアカーボン原則(CCPs)ラベルなど品質認証の浸透により、方法論の信頼性が向上するなか、レジストリの選択はサプライヤーにとって戦略的な意思決定事項となりつつある。

現在のレジストリ選択動向を見ると、プロアース(Puro.earth)が36%、アイソメトリック(Isometric)が32%とリードしているが、レインボー(Rainbow)のような新興レジストリも6%のシェアを獲得し始めている。

注目すべきは、全プロジェクトの16%がまだレジストリを選択していない点であり、サプライヤーが信頼性、柔軟性、規制の不確実性を天秤にかけながら判断を保留している流動的な市場環境を映し出している。

日本企業にとって、本レポートが示す最大の示唆は「調達の時間軸」である。

2026年のCDR供給の約半分がすでに予約済みという事実は、GX-ETSフェーズ2の本格運用やCBAM対応を見据える日本の排出事業者にとって、CDRクレジットの早期確保が競争優位に直結することを意味する。

バイオ炭一辺倒から脱却しDACCSやERWを含む多経路ポートフォリオを構築する視点が不可欠となろう。

参考:https://www.climefi.com/blog-posts/carbon-removal-registries-pathways-projects-2026

関連タグ CDR
カーボンクレジット.jp 編集部
カーボンクレジット.jp編集部|2023年末に当時日本初かつ唯一のカーボンクレジット専門情報メディアを立ち上げ。高度な専門性とわかりやすさを追求した翻訳力。