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フェイガー、農水省2事業に採択 中干し延長の栽培データを予測モデルへ

2026.06.29 読了 約3分
フェイガー、農水省2事業に採択 中干し延長の栽培データを予測モデルへ
出典:イメージ

フェイガーは2026年6月26日、農林水産省が所管する「スタートアップ大規模技術実証支援事業」と、農林水産省・生研支援センターによる「スタートアップ総合支援プログラム(SBIR支援)」の2事業に採択されたと発表した。

J-クレジットの中干し延長事業を通じて構築した全国3,500戸超・6万ha超の生産者ネットワークと栽培管理データを基盤に、気候変動適応型農業支援サービスへの展開を本格化させる。

採択された2事業

大規模技術実証支援事業(令和7年度補正予算)では、圃場データや衛星画像をAIで統合解析し、高温や乾燥といった複合リスクに対する最適処方を圃場ごとにリアルタイム生成する耐候性プラットフォームを構築する。2026年から耐候性レシピの実証に着手し、2027年からは石川と宮城を拠点とした乾田直播の実証を加える計画である。

SBIR支援事業では、水位センサーと栽培管理記録を用いた水稲栽培のビッグデータ解析により、最適な中干しと収穫のタイミングを算出する予測モデルの構築に取り組む。J-クレジット事業で蓄積した栽培管理データと、水位・水温センサーによる気象・環境データを統合解析し、生産性向上とGHG削減の両立を狙う。

中干し延長データの蓄積が持つ意味

注目すべきはSBIR支援事業の方向性である。

中干し延長は水田からのメタン排出を抑える水管理手法であり、J-クレジット制度下で削減量が定量化されてきた。フェイガーはこのクレジット創出の過程で、全国規模の水管理・栽培記録を継続的に取得している。同社はここにセンサーによる水位・水温の連続データを重ね、削減タイミングの最適化を予測モデルとして実装しようとしている。

これは方法論の精緻化とdMRVの高度化に接続しうる動きである。中干しの実施時期と期間はメタン削減量を左右するため、最適タイミングの予測は営農上の生産性とクレジット品質の双方に作用する。

一方で、水管理系のメタン削減は測定の不確実性が方法論上の論点であり続けてきた。連続的なセンサーデータがこの不確実性の低減に資する余地はあるものの、予測モデル自体の検証可能性は別途問われることになる。

編集部の視点

本件の固有の価値は、クレジット創出のために蓄積された水管理・栽培データが、削減量算定の精緻化と営農支援の両面で再利用される設計にある。緩和(メタン削減)のために集めたデータ基盤を、適応(耐候性)支援の原資へ転用する構造といえる。

中干し延長のメタン削減は、測定の不確実性が方法論上の弱点として指摘されてきた領域である。連続的なセンサーデータと予測モデルがdMRVの精度向上に接続すれば、クレジット品質と営農便益が同一のデータ基盤上で成立する。その実装の成否が、適応支援サービスの事業性を左右する論点となる。

参考:https://faeger.company/20260626/

カーボンクレジット.jp 編集部
カーボンクレジット.jp編集部|2023年末に当時日本初かつ唯一のカーボンクレジット専門情報メディアを立ち上げ。高度な専門性とわかりやすさを追求した翻訳力。