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越後製菓、新潟県産水稲由来J-クレジットを活用 農林中央金庫・フェイガーとの3社連携で「カーボンクレジットの地産地消」モデルを実装

2026.04.07 更新 2026.04.08 読了 約4分
越後製菓、新潟県産水稲由来J-クレジットを活用 農林中央金庫・フェイガーとの3社連携で「カーボンクレジットの地産地消」モデルを実装
出典:イメージ

新潟県を代表するもち菓子メーカーの越後製菓株式会社は2026年4月1日、農林中央金庫および株式会社フェイガーとの連携のもと、新潟県産水稲の栽培過程から創出されたJ-クレジットを調達・活用したことを発表した。

食品製造・農林系金融・農業系スタートアップという異なる機能を持つ3社が協働することで、カーボンクレジットの収益を地域農業生産者へ直接還元する「カーボンクレジットの地産地消」モデルの具体的な実装事例となった。

中干し期間延長の仕組み

本取り組みで活用されたJ-クレジットは、水稲栽培における中干し期間の延長という農法上の変更を基礎とする削減系カーボンクレジットである。

水稲栽培では、夏季の生育期に水田の湛水を一時的に止めて田面を乾かす「中干し」が慣行農法として行われる。通常数日程度のこの期間を標準より延長することで、嫌気的な土壌環境で活性化するメタン生成菌の働きが抑制され、水田から大気へのメタン(CH4)排出量が削減される。このCH4削減量をCO2換算し、J-クレジット制度の認証方法論(農林水産省の登録方法論)に基づいて測定・報告・検証(MRV)を経て、J-クレジットとして発行する仕組みだ。

農業由来J-クレジットの創出・販売を専業とするフェイガーは、同方法論が登録された2023年から取り組みを開始。2024年産では1,221件の生産者・25,202ヘクタールの農地を対象に135,944トンのJ-クレジット認証を取得しており、農業由来の単一プロジェクトとしては国内最大級の認証規模を誇る。

越後製菓が活用したのは、このフェイガーが創出した新潟県産のカーボンクレジットである。

農林中央金庫の媒介機能が果たした役割

本取り組みを構造的に特徴づける要素のひとつが、農林中央金庫の関与形態である。

農林中央金庫はJA(農協)・JF(漁協)・JForest(森組)等を会員とし、第一次産業を組織基盤とする農林系金融機関として、農林水産業の脱炭素を推進する観点からJ-クレジットの媒介の仕組みも活用して本件を後押しした。同金庫の関与によって、単なる二者間のカーボンクレジット売買にとどまらず、農林水産業の組織的ネットワークと企業の脱炭素需要をつなぐ「農業金融型カーボンクレジット流通モデル」としての性格を持った点は注目に値する。

農業生産者への直接還元

越後製菓は今年、創立80周年を迎えた。「国内産もち米100%」の使用にこだわり続ける同社にとって、国内もち米生産者の減少と農業環境の変化は事業の根幹に関わる構造的課題である。今回のJ-クレジット調達は、こうした課題認識を背景に、カーボンオフセットの手段と農業生産者支援を統合した取り組みとして設計されている。

カーボンクレジットの購入代金は、中干し期間延長に取り組んだ新潟県内の水稲生産者に直接還元される。この構造は、クレジット購入企業が「どこの、誰の農業を支援しているか」というトレーサビリティを確保しながら脱炭素対応を行えるという点で、単なるカーボンオフセット購入を超えた地域農業支援型のカーボンクレジット活用モデルとして機能する。

3社は今後も、食品製造・金融・スタートアップ各社の知見を融合させた「持続可能な食農バリューチェーン」の構築を目指すとしており、越後製菓はこの取り組みをサステナビリティへの姿勢として社内外に発信していく方針だ。

本件が示すのは、食品メーカーによるカーボンクレジット調達の動機が、コンプライアンス対応だけでなく「原料調達地域の農業基盤維持」という経営戦略的文脈に移行しつつある点だ。

GX-ETSの本格運用を前に、調達先の透明性・ストーリー性を担保できるJ-クレジット、とりわけ「誰の農地か」が可視化された国内農業由来カーボンクレジットへの企業需要は今後さらに高まるとみられる。

農林中央金庫という農業金融インフラが媒介機能を担う本モデルは、JAネットワークを通じた全国展開の雛形としての再現性を持っており、地方食品メーカー・自治体連携型のカーボンクレジット地産地消スキームに対するベンチマークとなり得る。

参考:https://www.echigoseika.co.jp/news/922/

カーボンクレジット.jp 編集部
カーボンクレジット.jp編集部|2023年末に当時日本初かつ唯一のカーボンクレジット専門情報メディアを立ち上げ。高度な専門性とわかりやすさを追求した翻訳力。