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滋賀銀行グループがカーボンニュートラル達成 近畿圏地銀初、Scope1・2を2年前倒しで実質ゼロ化

2026.05.09 読了 約4分
滋賀銀行グループがカーボンニュートラル達成 近畿圏地銀初、Scope1・2を2年前倒しで実質ゼロ化
出典:イメージ

滋賀銀行は2026年5月7日、グループ全体の2025年度温室効果ガス排出量(Scope1・2)を実質ゼロとし、カーボンニュートラルを達成したと発表した。同行の自社調査によれば、近畿圏内に本店を置く地方銀行によるScope1・2のカーボンニュートラル達成は初の事例である。

第8次中期経営計画(2024年4月~2029年3月)で掲げたScope1・2のカーボンニュートラル目標を、計画期間の2年目で前倒し達成した形となる。

削減と環境価値の二段階アプローチ

達成のプロセスは、自社による排出削減と環境価値による相殺の二段構えである。

削減面では、1999年の環境方針制定以降、省エネルギー設備の導入、業務効率化、再生可能エネルギー電気の調達などを継続的に進めてきた。その結果、2024年度末時点でグループのScope1・2排出量は2013年度比で約3分の1まで縮減している。

そのうえで、削減しきれない残余排出量を環境価値で相殺した。Scope1相当分にはJ-クレジット(アルミ溶解炉更新事業による排出削減量)を、Scope2相当分にはグループ会社のしがぎんエナジーが保有する発電所および滋賀県内の太陽光発電所が創出した非化石証書を充当している。

カーボンニュートラル達成にかかる排出量算定およびカーボンオフセットの適切性については、ソコテック・サーティフィケーション・ジャパンより独立した第三者保証報告書を取得している。

「自産自消」モデルによる次段階への移行

同行は2026年4月から、しがぎんエナジー保有のFIT太陽光発電所が創出した再生可能エネルギーをグループ内で活用する「自産自消」の取り組みを開始した。FIT特定卸の仕組みを通じて、特定の発電所を指定して小売電気事業者に卸供給する枠組みである。

地域内で創出された再生可能エネルギーを地域金融機関が直接活用する構図は、地銀の脱炭素モデルとして他行への波及可能性を持つ。同行は今後、地域で生み出された再生可能エネルギーの活用を通じて、グループ自身の本質的な排出削減を進める方針を示している。

ファイナンスド・エミッションという本丸との関係

ここまでの達成は、金融機関の脱炭素経営における必要条件であり、同時に十分条件ではない、という構造的文脈も併せて読み取る必要がある。

金融機関にとってのマテリアリティの中核は、自社のオフィス・営業拠点に紐づくScope1・2ではなく、投融資ポートフォリオに帰属する排出量、すなわちファイナンスド・エミッション(Scope3 カテゴリ15)にある。資産規模に応じて、Scope1・2の数十倍から数百倍の規模となるのが一般的である。PCAFやNZBA、SBTi金融セクター基準といった国際的枠組みも、この投融資排出量の測定・目標設定・削減経路を中核に据えている。

その意味で、Scope1・2のカーボンニュートラル達成は、地域金融機関の脱炭素経営における出発点であり到達点ではないと言える。一方で、Scope1・2の達成は対外的コミットメントの可視化や行内における脱炭素文化の醸成、取引先企業への波及効果に資するとの見方もあり、その意義自体は大きい。

滋賀銀行グループによる近畿圏地銀初のScope1・2カーボンニュートラル達成は、地域金融機関の脱炭素経営におけるロールモデル事例として正当に評価されるべき積極的な取り組みである。同時に、金融機関の脱炭素責務の本丸はファイナンスド・エミッションの削減経路設定と進捗開示にあり、地銀がメガバンクと並ぶ実体的な低炭素移行の担い手となれるかは、投融資ポートフォリオの脱炭素化でこそ問われる。

日本の地域金融機関各行に対しては、本件のような自社排出のカーボンニュートラル達成を一里塚として位置づけ、ファイナンスド・エミッション領域における具体的な中間目標設定と進捗開示への展開を期待したい。

参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000048.000046829.html

カーボンクレジット.jp 編集部
カーボンクレジット.jp編集部|2023年末に当時日本初かつ唯一のカーボンクレジット専門情報メディアを立ち上げ。高度な専門性とわかりやすさを追求した翻訳力。