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カーボンダイレクトとアルカ、鉱山廃棄物活用の産業ミネラリゼーションCDRで協業発表

2026.05.01 読了 約4分
カーボンダイレクトとアルカ、鉱山廃棄物活用の産業ミネラリゼーションCDRで協業発表
出典:Carbon Direct

カーボンダイレクト(Carbon Direct)とアルカ(Arca)は2026年4月28日、産業ミネラリゼーション(Industrial Mineralization、以下IMin)技術を用いた炭素除去(CDR)プロジェクトの件数と規模を加速させるための協業を発表した。

アルカのIMinは、鉱山廃棄物中の炭素鉱物化を加速する世界初のフィールドスケール・システムであり、長年の業界課題であった鉱業廃棄物を、スケーラブルなCDRソリューションへと転換するアプローチである。

アルカの技術と協業の枠組み

自然界における炭素鉱物化(mineral carbonation)は、アルカリ性岩石が大気中の二酸化炭素と反応してこれを固定する極めて緩慢なプロセスである。アルカのIMinは独自技術によって、鉱業や製鉄など重工業から発生するアルカリ性岩石廃棄物における同反応を人為的に加速させ、CO2を1万年超にわたって安定鉱物として貯留する。

本パスウェイは、既存の産業インフラと土地を活用するため、追加の設備やエネルギー需要を最小限に抑えられる点に優位性がある。

カーボンダイレクトは今後のIMinプロジェクトにおいて共同開発者として参画し、科学的知見とカーボンクレジット市場のノウハウを提供する。これにより、永続性、測定、検証の各局面で最高水準を満たすカーボンクレジットの組成を目指す。

カーボンダイレクトのサプライ担当バイスプレジデントを務めるグレッグ・フィッツジェラルド(Greg FitzGerald)は次のように述べた。「アルカのIMinパスウェイは、本来であれば数千年を要する自然プロセスを加速し、鉱業廃棄物を負債から気候資産へと転換する。実証された測定手法、耐久性ある貯留、既存インフラの活用、そして最小限の追加エネルギーという、市場が切実に求める要件を満たすソリューションだ」。

アルカの最高経営責任者(CEO)であるポール・ニーダム(Paul Needham)は、「カーボンダイレクトとの協業はIMin技術のスケールアップを加速させる。プロジェクト判断、オフテイク、新技術導入の意思決定リスクを低減する客観的かつ業界トップクラスの専門知見は、当社のステークホルダー、顧客、産業パートナーにとって価値が高い」とコメントしている。

マイクロソフト、フロンティアが先行調達

アルカの技術は既に主要バイヤーの注目を集めている。フロンティア(Frontier)が早期のプレパーチェスカーボンクレジット契約を締結したほか、マイクロソフト(Microsoft)は約30万トンを対象とする10年間のCDRオフテイク契約をアルカと締結している。

アルカは鉱業大手BHPとの間で18ヶ月にわたるパイロットプロジェクトを完了させ、稼働中の鉱山サイトにおいて高効率な純CO2除去を実証した。同社は現在、追加サイトでの展開準備を進めており、オーストラリアではチワール・アボリジナル・コーポレーション(Tjiwarl Aboriginal Corporation)と提携し、西オーストラリア州ゴールドフィールズ地域でのプロジェクト開発に着手している。

鉱業界に新たなパラダイム

世界の鉱業セクターは年間数十億トンのアルカリ性岩石廃棄物を発生させ、その環境管理は業界共通の負担となっている。一方でこの規模感は、CO2除去にとって巨大な機会でもある。アルカによると、世界には約165億トンのレガシー鉱山廃棄物が存在し、年間30億トンが新たに排出されている。IMinはこの規模に対し、テーリングス(鉱滓)の安定化といった重要なコベネフィットを伴いながら、世界の鉱山操業と並行してスケールアップできるポテンシャルを有する。

アルカの技術基盤は、ブリティッシュコロンビア大学(University of British Columbia)のグレッグ・ディップル博士(Dr. Greg Dipple)が20年以上にわたり主導してきた研究にある。同社はXPRIZEカーボンリムーバル・コンペティションにおいてマイルストーン賞およびトップ20ファイナリストに選出された実績を持ち、第三者検証に基づき1万年超の永続性を担保している点が、技術由来CDRとしての差別化要素となっている。

IMinはDACCS、BECCSERW、バイオ炭と並ぶ高耐久性CDRパスウェイとして、技術由来カーボンクレジットの選択肢を広げる存在である。

本案件の本質は単なる新規プロジェクト発表ではなく、ハイパースケーラー(マイクロソフトの30万トン10年契約)と専門デベロッパー(カーボンダイレクト)が、鉱業という既存重工業インフラを活用してギガトン級スケーラビリティを志向する構造設計にある。

参考:https://www.carbon-direct.com/press/carbon-direct-and-arca-announce-collaboration-on-industrial-mineralization-technology

関連タグ CDR
カーボンクレジット.jp 編集部
カーボンクレジット.jp編集部|2023年末に当時日本初かつ唯一のカーボンクレジット専門情報メディアを立ち上げ。高度な専門性とわかりやすさを追求した翻訳力。