一般社団法人カーボンリサイクルファンド(CRF)は2026年4月22日、2026年度のCRF研究助成活動の公募を開始した。公募期間は2026年5月26日17時まで、助成・支援期間は2026年9月1日から最長2028年8月31日までである。助成規模は1,000万円とされ、2050年カーボンニュートラル達成に資する研究成果を求めている。
助成対象は、CO2を資源として利用するカーボンリサイクル及び関連技術、ならびにカーボンリサイクル実現のための社会科学・制度設計、気候変動対応に資する技術である。化学品・燃料転換、鉱物化、バイオ由来のネガティブエミッションまで広い領域を射程とする。応募者は組織を問わず、大学・企業・法人等の研究者個人または研究チームを幅広く受け入れる設計となっている。
本年も継続されるのがスタートアップ枠である。
通常枠と趣旨は同一ながら応募様式を簡素化しており、若手研究者やスタートアップによる応募障壁を下げる設計となっている。CRFはまた、ワークショップ形式の教育プログラム「カーボンリサイクル大学」を運営するなど、人材育成を中核に据えた活動方針を継続している。海外の企業・研究機関との連携研究も期待対象に含まれており、国際協調を志向する設計が読み取れる。
本助成の主軸は「CO2を資源として利用する」カーボンリサイクル、すなわち炭素回収・利用(CCU)に分類される技術領域である。化学品・燃料用途のCO2利用は、製品ライフサイクル内でのCO2再放出を伴うため、大気からの永続的な除去を目的とする炭素除去(CDR)とは原則として別文脈で評価される。鉱物化を経由する場合、またはバイオ由来でCCSと組み合わせる場合に限り、除去系カーボンクレジット市場が要求する永続性要件と整合し得る。
本助成にバイオ由来のネガティブエミッションが含まれる点は、CCUとCDRの境界領域にも一定の射程を持たせる設計であることを示唆する。ただし採択分野の重点配分は公募結果を待つ必要がある。
本件はCCU領域の研究シーズ発掘という文脈において、地道かつ建設的な取り組みである。
民間資金を基盤としたNEDO連携型助成、スタートアップ枠の継続、カーボンリサイクル大学による人材育成の併設は、日本特有の研究助成エコシステムとして一貫した設計思想を示しており、肯定的に評価できる。ただし、本助成はCCUに重心を置く設計であり、除去系カーボンクレジット市場の品質要件(永続性・追加性・MRV)とは独立した文脈で評価すべき点に留意が必要である。
シーズ発掘段階の民間ファンド型助成(1,000万円規模)と、産業実装段階の大規模資本動員(数千億円規模)は明確に別軸であり、両者を補完的に整備することが日本のカーボンリサイクル戦略の次の課題となる。
参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000030.000109531.html