本文へスキップ
最新ニュース
海外ニュース

アフリカのエネルギー転換加速へ FSDAiとACPが約79億円の触媒資本をATAFへ投入

2026.03.15 読了 約5分
アフリカのエネルギー転換加速へ FSDAiとACPが約79億円の触媒資本をATAFへ投入
出典:FSD Africa

エフエスディー・アフリカ・インベストメンツ(FSD Africa Investments、以下FSDAi)とアライド・クライメート・パートナーズ(Allied Climate Partners、以下ACP)は、アフリカン・トランジション・アクセラレーション・ファンド(African Transition Acceleration Fund、以下ATAF)のファーストクローズに対し、合計5,000万ドル(約79億6,000万円) の触媒資本をアンカー出資として共同コミットした。

ATAFは目標調達規模2億ドル(約318億円) を掲げ、アフリカン・インフラストラクチャー・インベストメント・マネジャーズ(African Infrastructure Investment Managers、以下AIIM)が運用管理を担う。

「誰かが最初に動かなければならない」触媒資本の論理

FSDAiの最高投資責任者であるアン=マリー・チジェロ(Anne-Marie Chidzero)氏は、アンカー出資の意義をこう語った。「アフリカのエネルギー転換は、プロジェクトが従来の資本にとって十分安全になるまで待っていては資金調達できない。誰かが最初に動く必要があり、それが私たちだ」。

アフリカでは多くのインフラファンドが、初期段階のプロジェクト開発に対して十分な資本コミットを行う構造になっていない。その結果、有望なプロジェクトが銀行融資適格(バンカビリティ) を達成する前に頓挫するケースが後を絶たない。ATAFはこの資金ギャップを埋めるために設計された触媒型ファンドである。

ACPのCEOであるアフメド・サイード(Ahmed Saeed)氏は「ATAFは目的意識を持ったパートナーシップの証だ。新たな市場を触媒し、変革的なインフラプラットフォームと企業を加速させ、気候変動の壊滅的な影響に直面するアフリカ全土でコミュニティを強化する」と述べた。

投資対象

ATAFは以下の3つのエネルギー転換テーマに沿って、最早期かつ最重要段階にある開発企業へ出資する。

  • ① クリーン電子(Clean Electrons)
    系統連系型・オフグリッド再生可能エネルギー、エネルギー効率化、送電
  • ② 持続可能な輸送(Sustainable Transport)
    電気自動車(EV)および低炭素輸送システム
  • ③ クリーン分子(Clean Molecules)
    グリーンアンモニア、肥料、バイオ燃料

これらへの投資を通じ、ATAFは数万人規模の雇用創出、温室効果ガス(GHG)の排出削減、クリーン電力・グリーン燃料・低炭素輸送へのアクセス拡大という社会・環境便益の実現を目指す。

共同出資者と運用体制

FSDAiとACPに加え、国際金融公社(IFC)フロンティア・オポチュニティーズ・ファンド、IFC本体、ドイツの政府系開発銀行ケーエフダブリュー(KfW)、フランス開発金融機関プロパルコ(Proparco)、その他民間投資家がシニア・エクイティ共同出資者として参画する。

ATAFの運用管理はAIIMが担う。AIIMはアフリカの再生可能エネルギー・輸送・デジタルインフラ領域で20年超の実績を持つ。40名超の現地ベースの投資プロフェッショナルによるチームが組成されており、ファンドはリサ・ピンズリー(Lisa Pinsley)氏、アフリカのエネルギー投資で18年超の経験を有するベテラン投資家が主導する。

FSDAiは英国外務・英連邦・開発省(FCDO)の資金支援を受け、長期的・リスク負担型の資本と金融市場開発の専門知識を提供する。ACPは慈善資本を活用し、新興国市場における触媒型気候投資ファンドのアーキテクトおよびアンカー投資家としての知見を持ち込む。

FSDAiとACPの戦略的パートナーシップ拡充

ATAFへの出資はFSDAiとACPの戦略的パートナーシップ(2024年締結)に基づく最初の協調投資である。FSDAiの既存ポートフォリオには、インフラクレジット・ナイジェリア(InfraCredit Nigeria)、アクレ・インパクト・ファンド(Acre Impact Fund)、アフリカ現地通貨債券ファンド(ALCB Fund)、ARM-Harithのアフリカ気候変革(ACT)ファンドが含まれ、民間資本の呼び込みとアフリカのエネルギー・気候転換への新たな資金調達チャネル開設という一貫した目標を追求している。

一方、ACPにとってATAFはアフリカ初の触媒投資案件となる。ACPはすでに東南アジア向けにSEACEF II(クライム・キャピタル〈Clime Capital〉運用)とグリーン・インベストメンツ・パートナーシップ(ペンタグリーン〈Pentagreen〉運用)、カリブ海向けにカリブ・コミュニティ・レジリエンス・ファンド(シグナス・キャピタル〈Sygnus Capital〉運用)を支援しており、新興国市場に特化した気候ファンドのグローバル・エコシステムを構築しつつある。

ATAFが重点投資するグリーンアンモニア・バイオ燃料・低炭素輸送は、日本企業が二国間クレジット制度(JCM)の新規案件として開拓を模索する領域と高い親和性を持つ。

アフリカの脱炭素インフラへの早期参入は、カーボンクレジット創出の観点からも将来的な優位性をもたらしうる。

参考:https://fsdafrica.org/fsd-africa-investments-and-allied-climate-partners-commit-50-million-in-catalytic-capital-to-anchor-the-african-transition-acceleration-fund-ataf/

関連タグ アフリカ
カーボンクレジット.jp 編集部
カーボンクレジット.jp編集部|2023年末に当時日本初かつ唯一のカーボンクレジット専門情報メディアを立ち上げ。高度な専門性とわかりやすさを追求した翻訳力。