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FC今治、地元森林J-クレジットで「カーボンオフセットマッチ」 地域循環モデルの先行事例

2026.05.09 読了 約3分
FC今治、地元森林J-クレジットで「カーボンオフセットマッチ」 地域循環モデルの先行事例
出典:イメージ

FC今治は、2026年5月6日に予定されている対高知戦を「NTTドコモ presents カーボンオフセットマッチデー」として開催する。試合運営および移動由来のCO2排出量を、東予地域の宇摩森林組合が創出するJ-クレジット(プロジェクト名「スイハの森」由来)で相殺する。J-クレジットはNTTドコモが提供する森林価値創造プラットフォーム「森かち」を介して調達される。

東予で創出・東予で償却 地域内完結型の構造

宇摩森林組合は愛媛県四国中央市に本所を置く森林組合で、東予地域の私有林を中心に森林経営活動を担う。「スイハの森」由来のJ-クレジットは、同組合が管理する森林の二酸化炭素吸収機能を国が認証した森林吸収系のJ-クレジットである。クレジットが東予で創出され、同じ東予を本拠とするFC今治の試合運営で償却されることにより、創出から償却までが地域内で完結する構造となっている。

「森かち」はNTTドコモビジネスと住友林業が2024年8月に共同で立ち上げた森林由来J-クレジットの創出・審査・取引を包括的に支援するプラットフォームである。地理情報システム(GIS)を活用し、対象森林の施業履歴等を地図上で一元管理することで、創出者・審査機関・購入者の三者を支援する。本件は、同プラットフォーム経由による地域型J-クレジット取引の実装事例の一つに位置づけられる。

オフセット量より認知向上に主軸

本件におけるオフセット対象は試合運営および来場者・選手等の移動に伴うCO2排出とされる。プロスポーツ単一試合のオフセット規模は一般に数十トンから数百トン程度に収まると見られ、絶対量ベースでの排出削減インパクトは限定的である。

来場先着5,000名に対してFC今治とドコモのコラボステッカーが配布されるなど、カーボンオフセットを「観戦体験の付帯価値」として演出する設計となっている。スポーツ観戦というエンタメ接点を、脱炭素テーマの広報チャネルとして機能させる仕掛けと読み取れる。

本件のような需要側起点の地域内マッチング型活用は、森林J-クレジット流通拡大の観点で参考になる事例である。

スポーツ業界の脱炭素施策とその限界

国内ではJリーグを中心に、各クラブによる地域J-クレジット活用、Jブルークレジット活用、再エネ電力契約等のカーボンオフセット施策が広がりつつある。

本件のように地元創出のJ-クレジットを地元イベントで償却する地産地消モデルは、需要創出の側面で固有の意義を持つ。J-クレジット販売収入が地元森林組合に還元されることで、森林整備・地域林業の担い手確保への直接的な資金循環が生じる構造となる。

本件の本質的価値は、試合単体の排出削減量ではなく、数千名規模の来場者と試合配信メディア視聴者に対するカーボンクレジットの認知接点としての機能にあると言える。Jリーグは各クラブが脱炭素施策を積極的に展開する数少ない国内プロスポーツリーグであり、その姿勢は他のプロスポーツリーグ・地域スポーツ団体への波及余地が大きい。地域J-クレジット需要創出の観点でも、Jクラブモデルが地方自治体・地域企業へ広がる呼び水となり得る点に注目したい。

参考:https://www.fcimabari.com/news/oizg4wlg0it

カーボンクレジット.jp 編集部
カーボンクレジット.jp編集部|2023年末に当時日本初かつ唯一のカーボンクレジット専門情報メディアを立ち上げ。高度な専門性とわかりやすさを追求した翻訳力。