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IEEFA、ガス火力へのCCS適用は「高リスク戦略」と警告 英国230億ポンドの巨額補助はEUへの反面教師

2026.05.01 読了 約3分
IEEFA、ガス火力へのCCS適用は「高リスク戦略」と警告 英国230億ポンドの巨額補助はEUへの反面教師
出典:イメージ

EUのガス火力発電に炭素回収・貯留(CCS)を適用する政策方針に対し、米エネルギー経済・金融分析研究所(Institute for Energy Economics and Financial Analysis、以下IEEFA)が強い警鐘を鳴らした。

2026年4月29日に公表された分析報告書は、英国がフラッグシップ級のCCS付きガス火力プロジェクトに投じる巨額の公的支援を「他山の石」として直視すべきだと指摘している。

英国「ネット・ゼロ・ティーズサイド」が示す巨額補助構造

IEEFA報告書が中心事例として取り上げるのは、英国政府が世界初の商業規模CCS付きガス火力発電所を目指して進める「ネット・ゼロ・ティーズサイド(Net Zero Teesside)」プロジェクトである。同事業には合計230億ポンド(米ドル換算で310億ドル、日本円で約4兆4,800億円)の補助金が割り当てられ、コストの大半は最終的に英国の電力消費者が負担する構造となっている。

しかし投資規模に比して、同プロジェクト単体の貢献量は英国の2050年CCS目標の3%未満にとどまる見通しであり、費用対効果に深刻な疑問符が付く。報告書を執筆したIEEFAエネルギー金融アナリストのアンドリュー・リード(Andrew Reid)氏は、「巨額の補助要件と低調なパイロットプロジェクトの実績は、ガス火力CCSがEU諸国にとって高リスク戦略であることを示している」と述べ、再生可能エネルギーをはじめとする費用対効果と技術成熟度に優れる代替手段から資源を奪う恐れがあると警告した。

ガス火力CCSが抱える6つの構造的課題

IEEFAはガス火力CCS固有の課題として、欧州にガス火力統合型CCSの稼働実例が存在しないという実績の欠如、持続的な補助金なしには事業として成立しないという高コスト構造、既存の主要プロジェクトが想定された回収率を達成できておらず追加技術改良と更なるコスト増を招きかねない性能未達リスク、許認可・インフラ整備・クロスボーダー協定により計画から稼働まで通常10〜15年を要する長期化する開発期間、EU全域を貫くCO2輸送パイプライン網が未整備のままというインフラ不足、そして特に海底貯留サイトの長期安全性と容量に関する貯留の不確実性以上、6点を構造的論点として列挙している。

水素代替は「最大10倍割高」、最善は需要そのものの削減

ガス火力の脱炭素化手段としてCCS以外に検討される水素燃料化についても、IEEFAは「割高かつ技術的成熟度が不十分」と整理する。均等化発電原価(LCOE)ベースで、水素発電所はガス火力CCSの最大10倍のコストになり得るとの試算が示された。リード氏は最も合理的な脱炭素経路として「再生可能エネルギーの拡大、エネルギー貯蔵、送電網強化を通じてガス火力への依存そのものを減らすこと」を提示している。

なお欧州委員会が2024年2月に発表した産業炭素管理戦略(Industrial Carbon Management Strategy)は、CCSをハード・トゥ・アベイト分野に優先配分する方針を示す一方、発電部門への適用を明示的には排除しておらず、加盟国の解釈余地が残る点が今回の論点となっている。

参考:https://ieefa.org/articles/carbon-capture-gas-power-high-risk-strategy-eu-countries

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カーボンクレジット.jp 編集部
カーボンクレジット.jp編集部|2023年末に当時日本初かつ唯一のカーボンクレジット専門情報メディアを立ち上げ。高度な専門性とわかりやすさを追求した翻訳力。