横浜市内の4者コンソーシアムが2月6日、横浜港における環境再生型海藻養殖活動に基づくJブルークレジット®の認証取得に成功した。大都市圏の漁港で同クレジットが認証された事例として注目を集めており、購入申込者の公募が3月16日より開始されている。
今回認証を取得したプロジェクトの正式名称は「大都市圏横浜における環境再生型海藻養殖による【おさかなの街づくりプロジェクト】」。申請者は幸海ヒーローズ、横浜市漁業協同組合金沢支所、八千代エンジニヤリング、および横浜市の4者である。
同期間中に金沢漁港周辺海域で養殖されたコンブ5.54トン・ワカメ70.5トンの炭素固定効果を測定・報告・検証(MRV)した結果、認証クレジット量は0.4トン-CO2となった。
Jブルークレジット®は、ジャパンブルーエコノミー技術研究組合(JBE)が独立した第三者委員会の審査を経て認証・発行・管理するブルーカーボンクレジットの制度であり、海洋生態系の炭素固定能力をカーボンクレジットとして定量化するものだ。
本プロジェクトが「環境再生型」を標榜する背景には、日本沿岸の深刻な磯焼け問題がある。海水温の上昇や海洋生物による食害によって海藻が消失するこの現象は、沿岸生態系の崩壊につながるだけでなく、海洋炭素除去(mCDR)としての機能も損なう。
コンブ・ワカメ養殖を通じたカーボンシンクの回復は、CO2の固定に加え、水質改善や生物多様性の保全といったコベネフィット(Co-benefit)を創出する点で、単純な炭素回収以上の価値を持つ。こうした多面的な価値は、永続性や追加性の観点から自然由来カーボンクレジットの品質指標として重視されつつある。
取得したカーボンクレジットの売却益は、環境再生型海藻養殖活動の継続資金として活用される予定であり、Jブルークレジット®制度が目指す「クレジット収益による活動の自律的持続」モデルを体現している。
横浜市港湾局の浅野善広・新本牧事業推進課長は、「本市は2050年までに温室効果ガス(GHG)排出実質ゼロを達成し、持続可能な大都市を実現する計画を掲げている。本認証の取得を契機とし、ブルーカーボン施策をさらに推進していく」と述べた。
八千代エンジニヤリングの山中健二郎・取締役執行役員事業開発本部長は、「10年余りにわたり横浜の海と向き合い、ブルーカーボン創出の可能性を信じて支援を続けてきた。市内初となるJブルークレジット認証という実を結んだことを誇りに思う」と語った。
横浜港初のJブルークレジット®認証は、0.4トン-CO2という認証量の小ささにもかかわらず、大都市圏の漁業インフラをブルーカーボンクレジット創出基盤として活用する先例として意義が大きい。
GX-ETSがScope1・2に加えてScope3排出量の管理強化を求める方向に進む中、湾岸立地型企業が沿岸ブルーカーボンプロジェクトへの資金拠出を通じてカーボンオフセットを調達する可能性は十分にある。
また、二国間クレジット制度(JCM)の国内版として発展しつつあるJ-クレジット制度との連携や、海洋炭素除去(mCDR)の方法論整備が進めば、本プロジェクトが都市型ブルーカーボンのモデルケースとして国際的に参照される場面も想定される。