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長崎・牧島の藻場再生プロジェクトがJブルークレジット認証を取得 産官学7者連携で10.5トン相当のブルーカーボンクレジットを創出

2026.03.31 更新 2026.04.07 読了 約4分
長崎・牧島の藻場再生プロジェクトがJブルークレジット認証を取得 産官学7者連携で10.5トン相当のブルーカーボンクレジットを創出
出典:<a href="https://www.yacn.co.jp/" target="_blank">八千代エンジニヤリング</a>

長崎市たちばな漁協ブルーカーボン推進協議会は2026年2月6日、「長崎市牧島における持続可能な水産資源の確保に向けた藻場再生プロジェクト」でJブルークレジットの認証を取得したと発表した。認証量は10.5トン(CO2換算)で、長崎市内では初の認証事例となる。

プロジェクトの体制と背景

本プロジェクトは、長崎市たちばな漁業協同組合を主体に、長崎県・長崎市・国立大学法人長崎大学・八千代エンジニヤリング・住友大阪セメント・SNCが産官学連携で構成する協議会が実施した。

牧島周辺海域は、長崎県内ではほぼ見られなくなったクロメ(海藻)が残存する数少ない海域だ。しかし近年は磯焼けが深刻化しており、食害生物(ウニ類・ガンガゼ)の除去や藻場増殖礁の設置を通じた海藻藻場の維持・再生が急務となっていた。同海域は「戸石トラフグ」の産地としても知られ、水産業の振興と生態系保全を両立させるモデルケースとしての期待が高い。

各参画機関の役割は明確に分担されている。八千代エンジニヤリングが藻場の分布状況調査とブルーカーボン量の算定を担い、長崎大学が水中ドローンによる藻場観察と藻場礁のメンテナンスを実施。住友大阪セメントおよびSNCは新規技術を導入した藻場増殖礁の効果検証とモニタリング、さらに海洋データ利活用の検討を行った。

認証の詳細とJブルークレジット公募

認証されたカーボンクレジットの概要は以下のとおりだ。

  • 認証対象期間:2024年8月1日〜2025年7月31日
  • 認証吸収量:10.5トン(CO2換算)
  • クレジット属性:自然系(吸収源対策)

ジャパンブルーエコノミー技術研究組合(JBE)は、国土交通省認可の技術研究組合として、空中・水中ドローンを活用した定量評価に基づき認証を行った。同組合が独立した第三者委員会の審議を経て認証・発行・管理するJブルークレジットは、ブルーカーボン生態系(藻場・干潟・塩性湿地)を対象とした国内唯一の民間カーボンクレジット制度として機能している。

認証取得と同時に、購入申込者の公募も開始された。単価は0.1トンあたり5,500円(税込)で、トン単価換算では55,000円となる。最低購入申込数量は10.5トンで、公募全量の一括取得が前提だ。

  • 購入申込意向表明期間:2026年3月26日〜2027年1月22日
  • 購入申込期間:2026年4月13日〜2027年1月29日
  • 問い合わせ先:ジャパンブルーエコノミー技術研究組合(https://www.blueeconomy.jp)

他地区への波及とカーボンクレジット創出の拡大

協議会は、今回取得したカーボンクレジットの収益を藻場の維持・再生活動に充当し、持続的な水産業の基盤構築に活用する方針だ。八千代エンジニヤリングはブルーカーボン支援の知見・技術を横展開し、本プロジェクトのモデルを他地区への普及につなげる意向を示している。

測定・報告・検証(MRV)においてドローン技術を活用した本手法は、コスト効率と精度の両立という観点から、今後の国内ブルーカーボンクレジット創出における標準的なアプローチとなり得る。

トン単価55,000円という価格設定は、現在の国内J-クレジット市場における森林・農業系クレジットの相場を大幅に上回る水準であり、ブルーカーボンクレジットのプレミアム評価が国内でも定着しつつあることを示している。

企業のScope 3排出量対応や生物多様性関連情報開示(TNFD)への関心が高まる中、漁業権・藻場保全・地域経済振興を同時に内包するブルーカーボンクレジットは、単なるオフセット手段を超えたコベネフィット(Co-benefit)型のカーボンクレジットとして評価軸が異なる。

産官学7者体制の成立要件と測定・報告・検証(MRV)の方法論が整理された本事例は、他漁協がJブルークレジット申請を検討する際の実践的な参照モデルとなるだろう。

参考:https://www.yachiyo-eng.co.jp/news/2026/03/post_1015.html

カーボンクレジット.jp 編集部
カーボンクレジット.jp編集部|2023年末に当時日本初かつ唯一のカーボンクレジット専門情報メディアを立ち上げ。高度な専門性とわかりやすさを追求した翻訳力。