TOPPANホールディングスのグループ会社であるTOPPAN(東京都文京区)は、2026年5月11日、岩手県陸前高田市で「みんなのカーボンオフセットの森」の森開き式と第1回森林保全活動を実施した。
同森は、TOPPANが2026年2月に陸前高田市および公益財団法人Save Earth Foundationと締結した「陸前高田市企業等による森づくり制度」に基づく協定の対象区画である。
当日はTOPPANおよびパートナー企業の従業員ら計38名が参加し、看板除幕セレモニーに続いて陸前高田市森林組合の指導下で下草刈り、枝打ち、除伐、つる切りなどの保全作業を実施した。
参加者の一ノ関駅から現地までの移動に伴うCO2排出は、陸前高田市の森林クレジットを活用してオフセットされた。オフセット手続きは、TOPPANのパートナー企業であるワタミエナジーと陸前高田アメイジングトリップ・ビューロー(RTB)が「みんなのカーボンオフセット®」を通じて実施した。
「みんなのカーボンオフセット®」は、TOPPANと株式会社ウェイストボックスが共同開発したサービスで、企業や金融機関に対してオフセット枠の「販売店機能」を提供するものである。
サプライチェーン上の人材・ノウハウが不足する企業に対し、オフセット枠の調達から証書発行までをオンライン上で一括処理可能にする設計となっている。
今回森開き式を行った「みんなのカーボンオフセットの森」は、同サービスのパートナー企業がTOPPANと共に実地の森林保全活動に参加できる仕組みとして位置づけられる。
オフセット枠の購入にとどまらず、実地の保全活動への参加機会を組み合わせる点が、従来型のクレジット取引から踏み込んだ設計といえる。
「陸前高田市企業等による森づくり制度」は、山・川・里・海の連環によってもたらされる三陸特有の自然の恵みを保全する目的で運営される地域制度であり、脱炭素と自然共生社会の双方を制度趣旨に掲げている。
森林クレジットによるオフセットと、対象区画における物理的な森林保全活動が同一枠組み内で連動する設計は、カーボンクレジット流通と森林保全のコベネフィットを制度的に保証する仕組みである。
国内の森林系カーボンクレジットは、J-クレジット森林系を中心に供給量が限定的で、企業のサプライチェーン排出量対応に占める比重も限られてきた。
こうした中、大企業がパートナー企業を巻き込んでオフセットの実需を組成し、地域協定によって裏付けるスキームは、国内森林系カーボンクレジットの市場形成において流通実需の入り口を提供する動きと位置づけられる。
もっとも、森林系カーボンクレジットには永続性や追加性をめぐる議論があり、技術由来CDRと比較した品質評価の差異は引き続き論点として残る。
森林系カーボンクレジット流通の実需が限定的な国内市場において、本件は大企業がサプライチェーンに連なるパートナー企業群へオフセットを波及させる販売店モデルと、地域協定に基づく物理的な森林保全活動を連動させたハイブリッド型の事例である。
単なるオフセット枠調達ではなく、対象区画における保全作業への直接参加と地方自治体との協定がパッケージ化されている点で、森林系カーボンクレジットの取引に地方創生と自然共生というコベネフィットを制度的に組み込んだ枠組みとなっている。
吸収量規模としては象徴的水準にとどまるが、国内森林系カーボンクレジット市場の実需創出と、地域連携型の「企業の森」スキームの拡張モデルとして、後続事例の参照点となりうる位置づけである。
参考URL: https://www.holdings.toppan.com/ja/news/2026/05/newsrelease260515_2.html