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CO2e(CO2eq)とは?詳しくてわかりやすい用語解説|What Is CO2e (CO2 Equivalent)?

2025.01.01 更新 2026.07.04 読了 約10分
CO2e(CO2eq)とは?詳しくてわかりやすい用語解説|What Is CO2e (CO2 Equivalent)?

企業の温室効果ガス排出量を評価・比較するうえで欠かせない指標が「CO2e(シーオーツーイー)」または「CO2eq(シーオーツーイーキュー)」です。自然界や人間活動から排出される温室効果ガス(GHG)は二酸化炭素(CO2)だけでなく、メタン(CH4)や一酸化二窒素(N2O)、フロン類など多岐にわたります。CO2eは、これらすべてのガスを「CO2換算」で統一的に評価できるように設計された単位です。

CO2eとは

定義「異なる温室効果ガスをCO2に揃える仕組み」

CO2e(CO2 equivalent)は、各GHGが大気中に与える温暖化効果を、CO2と同じスケールで比較できるようにしたものです。たとえばメタン(CH4)は同じ重量ならCO2の数十倍、フロン類は数千〜1万倍以上の温室効果を持つとされています。そこで「ガスごとの排出量(トン)× 地球温暖化係数(Global Warming Potential, GWP)」を計算し、その総和をCO2e(またはCO2eq)として表記します。

排出ガス 排出量 GWP100(AR5基準) CO2e換算
メタン(CH4) 1t 28 28t CO2e
一酸化二窒素(N2O) 0.5t 265 132.5t CO2e

このように異なるガスの影響を「CO2e」という共通単位に揃えることで、全体のGHG排出量を一目で把握できます。CO2eと表記することで、CO2以外のGHGについても考慮し含めているということを対外的に示せる点も重要です。

CO2eの重要性

CO2eを用いる最大のメリットは、性質の異なる排出源を公平な物差しで比較できる点にあります。ガスごとにバラバラの単位で報告していては、企業間・国家間の比較も、削減目標の進捗管理もできません。CO2eという共通言語があることで、社内外のステークホルダーとの意思決定や情報開示が可能になります。

仕組みと具体例

地球温暖化係数(GWP)の考え方

地球温暖化係数(GWP)は、特定のガスが「一定期間(通常100年、または20年)」にわたってどれだけ温室効果をもたらすかを、CO2との相対比で示す数値です。IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の評価報告書で公表される値が国際的な基準として用いられており、現在の実務では2013〜2014年公表の第5次評価報告書(AR5)の値が広く使われ続けています。

ガス AR5 GWP100(現在も広く使用) AR6 GWP100(2021年公表)
CO2 1(基準) 1(基準)
CH4(メタン、化石由来) 28 29.8
CH4(メタン、非化石由来) 28 27.0
N2O(一酸化二窒素) 265 273
HFC-23(フロン類の一種) 約12,400 約14,600

2021年公表の第6次評価報告書(AR6)では、メタンを化石由来/非化石由来(バイオジェニック)で区別するなど、数値がより精緻化されました。ただしGHG Protocolなど主要な算定基準の多くは、2026年時点でもAR5の値を標準としており、AR6への全面移行はまだ完了していません(後述「国内外動向」参照)。※算定期間に20年を用いる場合はメタンなど短寿命ガスの数値がさらに高くなります。

メタン排出の計算例

  1. 排出量データを収集:例として乳牛飼育からのCH4排出量が年間2tとする。
  2. 該当ガスのGWPを参照:CH4のGWP100(AR5)=28。
  3. CO2eを算出:2t CH4 × 28 = 56t CO2e。
  4. 他ガスとの合算:N2OやHFC類のCO2eを足し合わせ、「総排出量CO2e」を求める。

活用シーン

CO2eは以下のような場面で活用されています。

  • 企業・国の温室効果ガス排出報告:全体排出量をCO2eでまとめ、カーボンニュートラル目標などと比較する。
  • サプライチェーン分析:原材料調達・物流・製造・廃棄の各プロセスのGHGをCO2eで統一し、重点的な削減分野を特定する。
  • カーボンクレジットの取引カーボンオフセット量の算定にもCO2eが用いられ、「1クレジット=1t CO2e」を基準とした取引が可能になる。

国内外動向

国際的な動き:IPCCは2021年8月、第6次評価報告書(AR6)第1作業部会報告書でメタンの化石/非化石区分を含む更新版GWP値を公表しました。一方、GHG Protocolは自社サイトで依然としてAR4・AR5の値を提供しており、多くの算定ツールがAR5を標準に使い続けています。GHG Protocolは企業算定基準(Corporate Standard等)の改定作業を進めており、2026年中に改定ドラフトを公開、2027年に最終基準を確定する見込みです。AR6への移行タイミングはこの改定に合わせて段階的に決まる見通しで、当面はAR4・AR5・AR6のいずれの値を使うかが報告制度ごとに異なる状態が続いています。

日本国内の動き:環境省は「地球温暖化対策の推進に関する法律(温対法)」に基づく算定・報告・公表制度について、2025年4月1日施行の関連政省令改正を反映した「温室効果ガス排出量算定・報告マニュアル(ver6.0)」を公表しました。同マニュアルは令和7年度報告(令和6年度実績)から適用されます。制度上どのGWP版(AR4/AR5/AR6)を用いるかは対象制度や年度によって取り扱いが異なるため、実務では所管制度が公表する最新マニュアル・排出係数一覧を確認することが必要です。

メリットと課題

メリット

  • 比較可能性:性質の異なるガスを一つの単位に揃え、企業間・プロジェクト間の公平な比較を可能にする。
  • 共通言語としての機能:投資家や規制当局、取引先など多様なステークホルダーへの説明・開示を簡潔にする。
  • 取引単位としての標準化:カーボンクレジット市場で「1クレジット=1t CO2e」という統一ルールを支える。

課題

  • 算定期間(時間軸)への依存:GWPは100年か20年かで数値が大きく変わり、選ぶ期間によって同じ排出量でも評価結果が異なる。
  • 短寿命気候汚染物質の過小・過大評価:メタンのように大気中の寿命が短いガスは、100年基準のGWPでは近い将来の温暖化への影響が実態より小さく見える一方、20年基準では大きく見えるなど、単一の係数では表現しきれない側面がある。IPCC AR6では、この課題に対応する補完的な指標として「GWP*」の考え方も議論されているが、排出量報告・気候政策における国際標準は依然としてGWP100である。
  • 新ガス・算定基準の更新への追随:バイオジェン系ガスや新しい代替フロンなど、GWPが未設定・変更途上のガスが存在し、最新のIPCC報告書や算定基準の確認が欠かせない。

行動につなげる

  • 排出源の可視化:まずは自社のScope1・2・3をCO2eで算定し、削減ポテンシャルの高い領域を特定する。
  • 目標設定:RE100やScience Based Targets initiative(SBTi)などのフレームワークに沿ったCO2e削減目標を策定する。
  • モニタリング:定期的にCO2e排出量を集計し、改善施策の効果を定量評価する。
  • オフセット検討:自社の削減施策と併せて、信頼性の高いカーボンクレジット(1t CO2e単位)の活用を検討する。どのプロジェクト・サプライヤーのクレジットが品質基準を満たすかを見極めるには丁寧な比較検討が欠かせず、CDR PROではこうしたクレジット品質やサプライヤーの評価に役立つ情報を提供している。

まとめ

CO2e(CO2 equivalent)は、さまざまなGHGの影響をCO2単位に統一・比較するためのキーメトリクスです。地球温暖化係数に基づく明確な計算手順を踏むことで、自社の全体排出量を一つの数値で把握し、効果的な削減・オフセット戦略を立案できます。

CO2eと表記することで、CO2以外の温室効果ガスについてもしっかりと考慮しているというメッセージを対外的に示すことができます。GWPは科学の進展に伴って更新され続けており、最新の係数データとMRV(測定・報告・検証)体制を整えつつ透明性の高い排出管理を進めることが、企業の持続可能性向上と社会的信頼の獲得につながります。

In English: What Is CO2e (CO2 Equivalent)?

CO2e (carbon dioxide equivalent, also written CO2eq) is the metric used to compare and aggregate different greenhouse gases (GHGs) — such as methane (CH4), nitrous oxide (N2O), and various fluorinated gases — on a single, CO2-based scale. Each gas’s emissions (in tonnes) are multiplied by its Global Warming Potential (GWP), a factor published by the IPCC that expresses how much warming a gas causes relative to CO2 over a set time horizon (typically 100 years, sometimes 20). Summing these gas-by-gas CO2e values yields a single total that companies, countries, and carbon markets can use for reporting and comparison.

Under the widely-used IPCC Fifth Assessment Report (AR5, 2013-14) 100-year values, methane’s GWP is about 28 and nitrous oxide’s is about 265, meaning 1 tonne of methane equals roughly 28 tonnes of CO2e. The IPCC’s Sixth Assessment Report (AR6, published August 2021) updated these figures — and, notably, began distinguishing fossil from non-fossil methane (GWP100 of 29.8 and 27.0, respectively) — but most corporate accounting frameworks, including the GHG Protocol, still default to AR5 values as of 2026 while a broader revision of corporate standards proceeds (draft expected in 2026, final standard in 2027).

CO2e underpins corporate and national GHG reporting, supply-chain (Scope 1-3) analysis, and carbon credit trading, where “1 credit = 1 tonne CO2e” is the standard convention. Its main limitation is that a single GWP figure struggles to capture the different behavior of short-lived pollutants like methane versus long-lived CO2 — a gap the IPCC’s newer “GWP*” metric aims to address, though GWP100 remains the international standard for emissions reporting and climate policy.

カーボンクレジット.jp 編集部
カーボンクレジット.jp編集部|2023年末に当時日本初かつ唯一のカーボンクレジット専門情報メディアを立ち上げ。高度な専門性とわかりやすさを追求した翻訳力。