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カナダ・レジーナ大学、タイのセメント産業向けにCCUSパイロット装置を輸出 2050年ネットゼロへ向け国際連携が本格化

2026.04.21 読了 約4分
カナダ・レジーナ大学、タイのセメント産業向けにCCUSパイロット装置を輸出 2050年ネットゼロへ向け国際連携が本格化
出典:イメージ

カナダのレジーナ大学(University of Regina)とタイセメント製造業者協会(Thai Cement Manufacturers Association、以下TCMA)は、世界で最も排出強度の高い産業の一つであるセメント部門を対象に、炭素回収・利用・貯留(CCUS)パイロット装置の実証プロジェクトを開始する。

レジーナ大学が2026年4月2日に発表した。本取り組みは、カナダで開発・製作されたパイロット装置をタイの実操業環境へ移転するもので、ハード・トゥ・アベイト分野におけるCCUSの実用化に向けた具体的な一歩となる。

世界CO2排出量の約7%を占めるセメント産業の脱炭素課題

セメント製造はプロセス由来(石灰石の焼成)と燃焼由来の両方の排出を伴うため、世界の人為起源CO2排出量のおよそ**7%**を占めると推計されている。電化や燃料転換のみでは深掘りが困難な代表的なハード・トゥ・アベイトセクターであり、CCUSやバイオマス代替燃料、混合セメントといった複数アプローチの組み合わせが不可欠とされる。

今回のパイロット装置は、レジーナ大学のクリーンエネルギー技術研究所(Clean Energy Technologies Research Institute、以下CETRI)が設計・製作した。資金はカナダ環境気候変動省(Environment and Climate Change Canada、以下ECCC)が拠出し、国連工業開発機関(United Nations Industrial Development Organization、以下UNIDO)の発注を受けて開発された。研究機関、政府、国際機関が三位一体となって新興国の重排出セクターへ技術移転する典型的なスキームである。

4月にタイへ輸送、実セメント生産環境での実証段階へ

パイロット装置は2026年4月初旬にタイへ輸送され、実際のセメント生産プロセス内でCCUSの技術的成立性を実証する。タイのセメント業界は2050年のネットゼロ達成を目標として掲げており、生産プロセスを大幅に変更せずに統合可能なCCUS技術への需要が高まっている。

CETRI所長のフサムエルディン・イブラヒム(Hussameldin Ibrahim)は「本プロジェクトはタイのセメント部門の脱炭素化を支援するとともに、レジーナ大学の研究が世界規模で実用的な気候ソリューションを提供できることを示すものだ」と述べた。イブラヒムは長年にわたりカナダにおけるCCUS研究を主導してきた人物であり、UNIDOがCETRIを実施機関として選定した背景には、こうした技術的蓄積がある。

サスカチュワン州とTCMAの覚書が基盤に

本プロジェクトの制度的基盤には、2025年秋にカナダ・サスカチュワン州政府とTCMAが締結した覚書(MOU)がある。同MOUはサスカチュワン州の貿易・輸出開発担当大臣ウォーレン・ケイディング(Warren Kaeding)が主導し、エネルギー部門と低炭素技術を中心とした技術協力、能力構築、知識共有の強化を約束する内容となっている。

レジーナ大学のジェフ・ケシェン(Jeff Keshen)学長兼副総長は「本プロジェクトは、エネルギー転換という世界的課題に対する国際協力の強さを反映するものであり、レジーナ大学が実用的かつ輸出可能なクリーンエネルギーソリューションを開発する能力を持つことを示している」とコメントした。ケシェンは直近にタイを訪問し、TCMA関係者と協議を行っている。

アカデミア発技術とハード・トゥ・アベイト分野の橋渡し

本件は、大学発のパイロット技術が国際機関を介して新興国の産業界へ展開される事例として注目される。セメント分野ではこれまで、ベンチャー企業や大手エンジニアリング企業主導のCCUSプロジェクトが先行してきたが、研究機関が直接パイロット装置を提供し、業界団体と組んで実証を行うアプローチは、初期段階のリスク分担と知見蓄積の観点で意義が大きい。

参考:https://www.uregina.ca/news/2026/university-of-regina-exports-carbon-capture-technology-to-thailand.html

関連タグ CCUS アジア
カーボンクレジット.jp 編集部
カーボンクレジット.jp編集部|2023年末に当時日本初かつ唯一のカーボンクレジット専門情報メディアを立ち上げ。高度な専門性とわかりやすさを追求した翻訳力。