最新ニュース
海外ニュース

ミッチェル財団、CCS付き電源向けEAC方法論案で意見公募開始 再エネ属性証書の枠組みを低炭素電源全般に拡張する制度設計の試金石

2026.05.21 読了 約3分
ミッチェル財団、CCS付き電源向けEAC方法論案で意見公募開始 再エネ属性証書の枠組みを低炭素電源全般に拡張する制度設計の試金石
出典:イメージ

シンシア・アンド・ジョージ・ミッチェル財団(Cynthia & George Mitchell Foundation)は、CCS設備を備えた発電プロジェクトから生成される電力に紐づくエネルギー属性証書(EAC)の方法論案について、60日間のパブリックコンサルテーションを開始した。意見公募の対象は、ノースブリッジ・グループ(The NorthBridge Group)が2025年10月に策定した「Proposed CCS EAC Methodology」と呼ばれる枠組みである。

財団によれば、コンサルテーションでは産業界からの意見、技術的知見、実務家の視点を収集し、方法論最終化に向けた推奨事項を形成することを目的とする。提出されたコメントは、ノヴィ・ストラテジーズ(Novi Strategies)とノースブリッジ・グループが財団に代わってレビューする。

再エネEACの枠組みをCCS電源に応用

方法論案の核心は、CCS付き発電システムから生み出された電力を市場ベースで認証する仕組みの確立にある。再エネ電力市場で確立しているEAC(米国のRECに代表される属性証書スキーム)の枠組みを、CCS付き電源にも拡張することで、低炭素電力に対する新たな価値認識経路を整備する狙いである。

財団は本取り組みを、既存のエネルギー証書制度を活用してCCS技術の市場普及を後押しする施策と位置づけている。

市場ベース手段の空白を埋める動き

CCSをめぐる政策支援は、米国の45Q税額控除や欧州のCCSクラスタープロジェクトなど、税制優遇・補助金が中心であった。これに対し、需要側の意思を直接価格に転換する市場ベース手段は限定的にとどまっていた。属性証書化はこの空白を埋め、低炭素電力の調達意思を持つ需要家から CCS 付き電源への資金フローを形成する設計思想に立つ。

もっとも、欧州を中心にCCSへの過度な依存に警鐘を鳴らす議論も根強く、属性証書による需要創出が CCS の経済性課題を本質的に解決しうるかは引き続き論点として残る。

編集部の視点

本件は、再エネ属性証書スキームの設計思想を低炭素電源全般に拡張する流れの一事例として位置づけられる。

EACの対象を再エネに限定するか、CCS 付き火力・原子力等を含む「低炭素電源」全般に広げるかは、需要家側の調達戦略、規制当局のクリーン電力定義、企業のScope2算定方法論にまで波及する論点である。

ただし、CCS付き電力を再エネ EAC と同列の「クリーン電力属性」として扱う設計には、追加性とパーマネンスの観点で固有の論点が残る。再エネEACは発電段階で排出を伴わない電源を前提とするのに対し、CCS付き電源は燃料燃焼に伴う排出を回収するという構造的差異を持つ。回収率、貯留サイトの長期健全性、燃料調達段階の上流排出をどう属性に織り込むかという論点を、再エネEACと同じ方法論で扱えるかは慎重な検証を要する。市場手段の標準化が制度の信頼性を担保できるかが本方法論の評価を左右する。

参考:https://www.ccseac.com/2026input

関連タグ CCS
カーボンクレジット.jp 編集部
カーボンクレジット.jp編集部|2023年末に当時日本初かつ唯一のカーボンクレジット専門情報メディアを立ち上げ。高度な専門性とわかりやすさを追求した翻訳力。