オーストラリア証券取引所(ASX)上場のノビックテック(NoviqTech、ASX:NVQ)は2026年4月21日、子会社のコラリア(Coralia)が、データセンター大手ピュア・データ・センターズ・グループ(Pure Data Centres Group、以下ピュアDC)の気候テックR&D子会社であるア・ヘルシアー・アース(A Healthier Earth、以下AHE)との間で、長期カーボンクレジット引取(オフテイク)に向けた戦略的基本合意書(MOU)を締結したと発表した。
両社はコラリアの旗艦案件であるグレートバリアリーフ・バイオ炭プロジェクト(豪ノースクイーンズランド州)が生み出すバイオ炭由来の炭素除去(CDR)カーボンクレジットについて、最低70%の長期オフテイクを対象とした事業性評価に着手する。
MOUは12カ月間の有効期限を持つ非拘束契約であり、検証結果に応じて詳細条件書(Heads of Terms)への移行、さらにはカーボンクレジットの直接売買契約や生産プラント建設の合弁事業(JV)組成への発展を視野に入れている。
事業性評価結果次第ではあるが、本プロジェクトはライフサイクル全体で約2,000,000トンの農業バイオマス廃棄物および木本侵入種を処理し、約550,000トンの高品質バイオ炭CDRカーボンクレジットを創出することを目指す。
関連情報によれば、対象地域は約20,000ヘクタールにわたり、侵入種除去を通じた土地再生効果も併せ持つ。グレートバリアリーフ生態系への農業由来廃棄物流入を抑える副次的便益(コベネフィット)も想定されている。
バイオ炭は炭素隔離の永続性に優れ、1,000年超の隔離プロファイルを有することから、技術由来CDRの中でも高耐久性手法に分類される。
両社の発表は、現在のCDR市場が生成AIとデータセンターの世界的拡大を背景とした需要の「スーパーサイクル」局面にあると位置付けている。とりわけ技術由来CDRはその長期隔離特性から大きなプレミアムで取引されており、高品質バイオ炭カーボンクレジットの市場価格は1トンあたり150〜220米ドル(約22,500〜33,000円)のレンジで推移している。
世界全体の2025〜2026年バイオ炭カーボンクレジット供給の大半がすでに長期オフテイクで押さえられているとされ、本プロジェクトは需給逼迫が続く市場でバリューチェーン上流のポジションを取り込む狙いがある。
ピュアDCは、欧州・中東・アジアで1ギガワット(GW)超のデータセンター容量を運用または開発中の事業者であり、ハイパースケーラー向けに用地・電力・規制対応を統合的に提供している。
同社は最近、英ウィルトシャー州ロイヤル・ウットン・バセット(Royal Wootton Bassett, Wiltshire)に建設される英国最大のバイオ炭CDR施設に対し、2,400万英ポンド(約45.6億円)を出資すると公表しており、AHEを通じたバイオ炭バリューチェーンへの本格参入を進めていた。今回の豪コラリアとの提携は、英国施設に続くグローバル展開の第二の柱と位置付けられる。
役割分担として、コラリアは用地開発、5〜6月の生産トライアル、許認可取得、国際的なレジストリ(登録簿)認証への適合を担当する。AHEは技術・科学チームによるピアレビュー、トライアルデータ分析、生産機材の供給、グローバル販売プラットフォームを通じたカーボンクレジット商業化を担う。AHEチームはアラステア・コリアー(Alastair Collier)氏が統括する。
別途、コラリアは豪スウィンバーン大学(Swinburne University)と連携し、データセンター建設用コンクリートへのバイオ炭混入による低炭素化研究も進めている。
これは、生成されたカーボンクレジットを売却するだけでなく、物理的なバイオ炭そのものをデータセンターのバリューチェーン内Scope3関連排出削減に直接利用するカーボンインセッティング型の応用と評価できる。
データセンター事業者にとっては、調達建材の低炭素化と除去系カーボンクレジットの確保を同一プロジェクトから得られる垂直統合モデルとなり得る。
参考:https://noviqtech.com/articles/coralia-enters-into-strategic-mou-with-a-healthier-earth