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ルフトハンザ、ゼンケン経由で3方法論の除去系カーボンクレジットを長期調達

2026.05.25 読了 約4分
ルフトハンザ、ゼンケン経由で3方法論の除去系カーボンクレジットを長期調達
出典:<a href="https://www.senken.io/blog/senken-lufthansa-multi-year-carbon-removal-offtake" target="_blank">Senken</a>

欧州最大の航空グループであるルフトハンザ・グループ(Lufthansa Group)が、ベルリン拠点のカーボンクレジット調達プラットフォーム、ゼンケン(Senken)と複数年のカーボン除去オフテイク契約を締結した。契約は3大陸にまたがる3つの方法論を組み合わせた構成となり、永続性、規模、コベネフィットのバランスを設計思想に据える。

調達対象は、カナダのディープスカイ(Deep Sky)によるDAC、ボリビアのエクソマド・グリーン(Exomad Green)による産業用バイオ炭、ドイツのクリム(Klim)による欧州農地での再生農業の3方法論である。エクソマド・グリーンのバイオ炭プロジェクトは、マイクロソフト(Microsoft)とスイス・リー(Swiss Re)が先行してオフテイクを実施している大型施設である。

本件は、ルフトハンザ・グループが今回刷新した気候保護ポートフォリオの一部を構成する。新ポートフォリオは14プロジェクトで構成され、永続的除去の比率は約20%と前年から倍増した。回避系カーボンクレジットの比率を引き下げ、DACCSを戦略的優先事項として明示している。2025年の顧客拠出ベースの除去・回避量は71万トンCO2超で、前年比約20%増となった。

ルフトハンザ・グループは、ポートフォリオ全体を透明に公開した欧州航空グループとしては初期事例の一つでもある。除去系シフトと開示の組み合わせは、オックスフォード原則が示す「自然由来と技術由来のバランス」「永続性確保」のガイダンスに沿った動きであり、回避系単独・低品質ポートフォリオからの離脱という業界全体の潮流を反映している。

キュレーターを介した調達構造への移行

本件で注目すべきは、ルフトハンザが個別プロジェクトと直接契約する形ではなく、ゼンケンをマルチメソドロジー・キュレーターとして起用した点である。ゼンケンが調達対象とするすべてのカーボンクレジットは、同社独自のサステナビリティ・インテグリティ・インデックス(SII、Sustainability Integrity Index)と呼ぶ600超データポイント・5段階の評価フレームワークを通過する必要がある。評価軸はプロジェクトの基礎要件、炭素インパクト、コベネフィット、報告プロセス、ICVCM・CSRD・SBTiへの準拠を含み、通過率は5%未満とされる。

需要側企業にとって、自社で全方法論にわたる品質審査体制を内製化することは現実的でない。航空セクターのように複数方法論を組み合わせる必要がある場合、独立した品質ゲートを介した調達構造は合理的な選択肢となる。

もっとも、キュレーターの評価基準そのものが調達主体の責任範囲を吸収する構図には、依然として議論が残る。SIIのような独自指標がICVCMコアカーボン原則等の業界共通基準とどう接続するか、評価プロセスの透明性をどう確保するかは、今後のキュレーター型モデルの正当性を左右する論点である。

編集部の視点

本件の本質は、航空セクターの除去系シフトという表層的トレンドではなく、カーボンクレジット調達構造そのものの変化にある。需要側企業が個別プロジェクトを直接評価する従来モデルから、独立した品質ゲートを介する間接調達モデルへと移行する事例として位置づけられる。

DACバイオ炭、再生農業という性質の異なる3方法論を単一契約に束ねる設計は、単独企業が内部審査で実現することが難しい構造であり、キュレーター型仲介の存在意義を示している。マイクロソフトやスイス・リーといった先行需要家が個別プロジェクトとの直接契約を主軸としてきた段階から、航空のような実務的制約の大きいセクターでキュレーター経由の調達が標準化しつつある段階への移行が、本件で可視化された。

ただし、このモデルが持続的に機能するかは、独自指標が業界共通基準とどう整合し、評価プロセスの透明性がどこまで担保されるかに依存する。仲介層の評価権限が拡大するほど、その妥当性検証の仕組みが市場全体の信頼性を規定する。

参考:https://www.senken.io/blog/senken-lufthansa-multi-year-carbon-removal-offtake

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カーボンクレジット.jp 編集部
カーボンクレジット.jp編集部|2023年末に当時日本初かつ唯一のカーボンクレジット専門情報メディアを立ち上げ。高度な専門性とわかりやすさを追求した翻訳力。