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キャプチャー6、カリフォルニアDAC「プロジェクト・モナーク」第2フェーズへ前進 ノンリコース型プロジェクトファイナンスを確保

2026.05.01 読了 約4分
キャプチャー6、カリフォルニアDAC「プロジェクト・モナーク」第2フェーズへ前進 ノンリコース型プロジェクトファイナンスを確保
出典:Capture6

直接空気回収(DAC)と排水処理を統合した独自技術を開発する米国の炭素除去(CDR)企業、キャプチャー6(Capture6)は、カリフォルニア州パームデールで進める「プロジェクト・モナーク(Project Monarch)」の第2フェーズに向け、プロジェクトレベルでの資金調達を確保したと発表した。

資金提供元はインパクト金融機関のRSF(RSF | Regenerative Social Finance)であり、カリフォルニア州の公的金融機関であるカリフォルニア・インフラ経済開発銀行(California Infrastructure and Economic Development Bank、通称iBank)の支援を受けた構造となっている。

プロジェクトの規模と統合技術

プロジェクト・モナークは現在パームデールで実証段階にあるが、第2フェーズで本格稼働した際には、年間約25,000トンのCO2除去が見込まれる。同プロジェクトはパームデール水道区(Palmdale Water District)の既存浄水施設「ピュア・ウォーター・アンテロープバレー(Pure Water Antelope Valley)」に併設される形で展開され、同施設で発生する1日あたり0.68百万ガロン(約2,570立方メートル)のブライン(高濃度塩水)廃水を処理対象とする。

キャプチャー6の技術的特徴は、CO2を大気から回収する電気化学プロセスにおいて、水再利用工程で最大の難点となるブライン廃水の最大50%超を真水として回収する点にある。第2フェーズでは年間約40万立方メートルの真水回収を目標としており、深刻な水ストレス下にある南カリフォルニア地域に新たな水資源を生み出す。さらに副産物として塩酸や炭酸カルシウム等のグリーンケミカルを生産し、生成された炭酸カルシウムは安定的な炭素貯留媒体ともなる。地域水道事業者にとっては、ブライン処分コストを最大40%削減できる効果も期待されている。

ノンリコース型ファイナンスが示す市場成熟度

今回の資金調達でとくに注目されるのは、そのファイナンス構造である。コーポレートローンではなく、プロジェクト自身の資産と将来キャッシュフローを担保とするノンリコース(非遡及)型のプロジェクトファイナンスが採用された。これは、機関投資家がCDRをコマーシャル・ベースで成立するインフラ資産クラスとして認識し始めたことを示す重要なシグナルといえる。

CDR分野ではこれまで、企業の自己資本やベンチャーキャピタル、政府助成金、そしてカーボンクレジットのプレパーチェス(事前購入)契約が主要な資金源であった。プロジェクトレベルでのデットファイナンスの組成は、再生可能エネルギー業界がたどった成熟プロセスを彷彿とさせるものであり、CDR業界が「気候テック」から「気候インフラ」への移行期に差し掛かりつつあることを物語る。バンカビリティの確立は、CDRスケールアップの最大のボトルネックである資金コスト低減の鍵となる。

なおキャプチャー6は今回の調達に先立ち、カリフォルニア州エネルギー委員会(California Energy Commission)から800万ドル(約12億円)の助成金を獲得し、2025年初頭にはシリーズAラウンドで2,750万ドル(約41億円)を調達している。

カーボンクレジットへの含意とグローバル展開

キャプチャー6はDAC由来のカーボンクレジットの発行に向けて、認証機関のアイソメトリック(Isometric)と提携している。プロジェクト・モナークが第2フェーズで本格稼働すれば、CDR系の除去型カーボンクレジットの新たな供給源となる見込みであり、技術由来カーボンクレジットの中でも高い永続性と追加性を備えるDACクレジットの市場供給拡大に貢献する。炭酸カルシウムによる鉱物固定はジオロジカルな永続性を担保するため、測定・報告・検証(MRV)の観点でも優位性を持つ。

実証施設は2026年中に稼働開始予定で、商業規模施設は2030年までの完成を目指している。同社はモナーク以外にも、西オーストラリア州で「プロジェクト・ワラビー(Project Wallaby)」を進めるほか、韓国、米中西部、アラブ首長国連邦でもプロジェクト開発を進めており、水・エネルギー・カーボンの統合インフラとしてのCDRモデルをグローバル展開する戦略を取っている。

参考:https://www.linkedin.com/posts/capture6_waterrecovery-climatefinance-cleanwater-activity-7452079346980237312-QRAL

関連タグ CDR
カーボンクレジット.jp 編集部
カーボンクレジット.jp編集部|2023年末に当時日本初かつ唯一のカーボンクレジット専門情報メディアを立ち上げ。高度な専門性とわかりやすさを追求した翻訳力。