スイスのブルクハルト・コンプレッション(Burckhardt Compression)が、ノーザンライツ(Northern Lights)CCSプロジェクト向けに、初の産業規模の液化CO2(LCO2)運搬船へ圧縮機ソリューションを供給する受注を獲得した。同社はこれを、CCSが試験段階から産業利用へ移行する過程の一歩と位置づける。
専用LCO2運搬船は、回収したCO2を液化して大量輸送する手段であり、固定パイプラインの敷設が現実的でない場面で排出源と貯留地を結ぶ。欧州では国境を越えたCO2の移動が脱炭素の実務的経路として重みを増しており、海上輸送はその柔軟性を担保する。
本件の含意は、CCSの隘路が回収技術そのものよりも輸送・貯留インフラの整備へ移りつつある点にある。
ノーザンライツは、世界で初めて運用に入った越境CO2輸送・貯留プロジェクトであり、CO2の輸送と海底への恒久貯留を「サービス」として提供する。回収されたCO2はノルウェー・オイガルデン(Øygarden)の陸上ターミナルへ運ばれ、北海海底に貯留される。2025年の操業開始後、欧州産業界の需要拡大を受けて輸送・貯留能力を拡張している。
供給されるK-Laby圧縮機は、液化ガス用途で実績を積んだ技術をCO2海上輸送向けに転用したものである。今回の船は標準化された産業規模の設計を採り、複数の排出源を集約型の貯留ハブに接続する将来構成の下敷きとなる。
本件は単一の機器受注にとどまらず、欧州が構築しつつある越境CO2管理ネットワークの実装が、要素技術の調達段階に入ったことを示す。
ノーザンライツが体現する「サービスとしてのCO2輸送・貯留」モデルは、パイプライン網を持たない国・産業がCCSに参加する経路を開く一方で、CO2の越境移動に伴う責任分担や貯留地の偏在という制度上の論点を残す。海上輸送インフラの拡充が、このモデルの実効性を左右する。
参考:https://www.burckhardtcompression.com/about/news-stories-and-whitepapers/article/burckhardt-compression-secures-milestone-order-for-first-industrial-scale-liquefied-co2-carrier-supporting-northern-lights-ccs-project/