グローバル・キャノピー(Global Canopy)が2026年6月16日に公表した最新のフォレスト500(Forest 500)評価で、森林破壊リスクへのエクスポージャーが大きい上位150の金融機関のうち59%が、対象7品目に関する森林破壊対策方針を持たないことが明らかになった。方針を欠く機関には、ブラックロック(BlackRock)、ステート・ストリート(State Street)、バンガード(Vanguard)という世界最大級の資産運用会社3社が含まれる。
グローバル・キャノピーは2014年以降、森林破壊への影響が大きい500社へ最も多くの資金を供給する150の金融機関を毎年評価してきた。2025年評価では23機関(15%)が、2014年以降の全評価で一度も森林破壊対策方針を公表していない常習的な後進機関に分類された。
フィデリティ・インターナショナル(Fidelity International)、HSBC、UBS、USバンコープ(US Bancorp)は、いずれも1品目で方針を後退させた。
森林喪失を事業リスクと認識する機関は、上位150機関のうち39%にとどまる。
2025年には、クレディ・アグリコル(Crédit Agricole)、ナットウエスト(NatWest)、シュローダーズ(Schroders)、スタンダードチャータード(Standard Chartered)など5機関が森林破壊リスクの高い7品目すべてをカバーする方針を新たに整え、包括的にカバーする機関は計10に増えた。リスク評価結果を公表した機関は2024年の2機関から10機関へ、方針・順守・エンゲージメントに関する指標を報告した機関は3機関から12機関へ拡大した。
評価点を大きく伸ばした機関もある。リーガル・アンド・ゼネラル(Legal & General)は56%から71%へ、シュローダーズはカカオ・コーヒー・ゴムへの方針拡大により31%から51%へ上昇した。
グローバル・キャノピーのエグゼクティブ・ディレクター、ニキ・マルダス(Niki Mardas)は、経済と社会の双方にとってリスクが理解され、行動の必要性に政治的な合意があり、ツールとデータも整っているにもかかわらず、前進は緩慢で不均一だと述べた。
一方で報告書は、先進的な少数機関の前進が「行動は可能だ」という事実を示すと評価する。
そのうえで、前進が一部に集中している現状はボランタリーな取り組みの限界を示すとし、金融機関に対する強制的なデューデリジェンス規制の導入を求めている。
今回の評価結果は、森林破壊対策をめぐる金融セクターの緩慢な軌道の延長であり、構造的な転換点とは言いがたい。
むしろ専門市場の観点から重要なのは、森林破壊リスク品目への資金供給と、森林系カーボンクレジットやREDD+への依存を強めるボランタリーカーボンクレジット市場とが、同じ森林をめぐって逆向きに作用している点だ。森林系カーボンクレジットの永続性と追加性は対象森林の保全を前提とするため、その森林が破壊へと資金供給される限り、クレジットが担保する排出相殺の信頼性は土台から損なわれる。
金融機関の森林破壊エクスポージャーと森林系カーボンクレジットの品質は、本来切り離せない論点となる。
参考:https://globalcanopy.org/press/limited-progress-by-the-finance-sector-on-deforestation/