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Isometric、ダイナミックベースライン方式による再植林カーボンクレジットを初発行 Mombakに21,771トン

2026.07.05 更新 2026.07.06 読了 約4分
Isometric、ダイナミックベースライン方式による再植林カーボンクレジットを初発行 Mombakに21,771トン
出典:イメージ

Isometricは7月1日、ブラジルの炭素除去企業Mombakに対し、自然由来カーボンクレジット21,771トンを発行したと発表した。対象はブラジル・アマゾンでの再植林プロジェクト「Reforesting the Brazilian Amazon Project 1」で、Isometricが自然由来カーボンクレジットを認証するのは今回が初めてとなる。

Mombakにとっても再植林クレジットの発行は初めてで、同社は4月にIsometric認証で岩石風化促進(ERW)クレジットを取得済みだった。今回の案件は、ダイナミックベースライン方式を用いた在来種再植林クレジットとしては世界初となる。

対象プロジェクトは12農場にまたがり、在来種100種以上、約1,500万本の植林を実施している。うち16種は絶滅危惧種に指定されており、脆弱なアマゾン地域で約600人の直接雇用を生んでいるという。

Isometricの再植林方法論は、独立して設定されるダイナミックベースラインを採用する。

固定時点ではなく、対照地との比較をプロジェクト期間中継続的に行うことで、自然に生じたであろう炭素蓄積分を除いた純増分のみをクレジット化する仕組みである。同方法論はアルベド変化を織り込む世界初の方法論でもあり、在来種植林を要件とする点も特徴とされる。

Isometricはこの発行を、AIエージェントが検証データを全数照合する認証プラットフォーム「Certify」を通じて実施した。従来の検証は人間の検証者がサンプル抽出で確認し残りを推定する方式が主流だったのに対し、Certifyは衛星データやセンサー情報を含む根拠データをAIが逐一照合し、人間の判断が必要な案件のみを検証者に引き渡す設計だという。

MombakのGabriel Silva(ガブリエル・シルバ)CEOは、業界内で「約束から実行への転換」が求められてきたと述べたうえで、今回の発行を高品質なトンの供給と位置づけた。IsometricのEamon Jubbawy(エイモン・ジュバウィ)CEOは、森林由来カーボンクレジットが過去に推定値ベースの発行で批判を受けてきた経緯に触れ、ダイナミックベースラインとアルベド会計、在来種植林の組み合わせが科学的厳密性の点で従来を上回ると主張した。

一方で、検証プロセスのAI化については、根拠データの照合精度が向上する半面、AIエージェントの判断基準や誤検知率がどこまで外部から検証可能かという論点が残る。

Isometricは2024年に自然由来除去分野へ参入し、再植林のほか森林管理改善、マングローブ再生、アグロフォレストリー、土壌炭素の各プロジェクトを認証している。今回の再植林方法論は2026年2月にICVCMのCCPラベル承認を取得しており、Isometricの自然由来方法論としては初のCCP取得案件となる。

Mombakはこれまで世界銀行やBNDES、DFC、ロックフェラー財団、CPP Investments、ベイン・キャピタル、AXAなどから2億5,000万ドル超(約403億円)の資金を調達し、Google、McKinsey、マイクロソフトなど大手企業と1億7,000万ドル超(約274億円)の除去契約を締結している。同社のアマゾンプロジェクトは、企業バイヤーで構成されるSymbiosis Coalitionが最初に選定した案件でもある。

Isometricの脚注によれば、再植林による冷却効果はアルベド変化により最大で案件の12%相当分が相殺されうるとする研究があるという。

今回の案件は、森林由来カーボンクレジットの品質論争に対する回答を、検証プロセスの自動化という形で提示した点で構造的な転換点である。ダイナミックベースラインやアルベド会計そのものは方法論上の改良にとどまるが、Certifyによる全数照合が業界標準になれば、サンプル検証に依拠してきた既存レジストリの立ち位置は相対的に低下する。

日系企業がCDR系カーボンクレジットの調達判断を行う際は、方法論の厳密性だけでなく、認証主体がどのような検証体制を敷いているかも比較軸に加える必要がある。

参考:https://isometric.com/writing-articles/isometrics-first-nature-based-carbon-removal-certificates

関連タグ Isometric 中南米 森林
カーボンクレジット.jp 編集部
カーボンクレジット.jp編集部|2023年末に当時日本初かつ唯一のカーボンクレジット専門情報メディアを立ち上げ。高度な専門性とわかりやすさを追求した翻訳力。