ENEOS株式会社と公益社団法人とくしま森林バンクは2026年6月23日、森林由来J-クレジットの長期売買契約を締結したと発表した。ENEOSは、とくしま森林バンクの森林管理を通じて創出される森林由来J-クレジットを長期にわたり購入し、自社の温室効果ガス排出のカーボンオフセットに活用する。
とくしま森林バンクは、徳島県内で市町や企業の支援を受けながら、森林経営の受託や買取を通じて管理困難な森林を集約化する団体である。創出した森林由来J-クレジットを収入源とし、その収益を森林整備・管理へ再投資することで、事業の継続と拡大を図る。本契約は、この収益と再投資の循環を安定化させる基盤となる。
ENEOSグループは、2030年度までにScope1,2の温室効果ガス排出量を2013年度比46%削減する目標を掲げ、J-クレジットを含む環境価値の活用を多面的な取り組みの一つに据えている。本契約で調達する森林由来J-クレジットは、同グループの事業活動に伴う排出のオフセットに充てられる。
契約金額やクレジットの調達量、契約期間は公表されていない。
ENEOSにとって本契約は、自社排出の削減と並行して進めるオフセット調達の一環にあたる。同社は森林由来J-クレジットの活用を環境価値活用策の一つと明示しており、オフセットを2030年度目標の補完的手段として扱う構図が読み取れる。
石油元売りによるカーボンオフセットの活用は、自社の排出削減とどう両立させるかが評価の分かれ目となる。ENEOSが森林由来J-クレジットを2030年度目標の達成手段の一つに据えること自体は環境価値活用の定石の範囲にあり、本契約も国内森林資源を対象とした長期オフテイクの一例として位置づけられる。
論点は、オフセットが自社排出の実削減に対してどこまで補完にとどまるかにある。Scope1,2を対象とする削減目標の文脈では、化石燃料事業に由来する排出の構造的な削減が先行すべきであり、オフセットがその代替と受け取られれば削減優先の原則と緊張関係を生む。一方で、森林整備への再投資を伴う国内クレジット調達は、追加性と調達の透明性が確保される限り、削減と並走する環境価値活用として機能しうる。
参考:https://www.eneos.co.jp/information/2026/20260623_01_01_mr07.html