EUの一般裁判所(General Court)は6月24日、ビジネスジェット機の製造をEUタクソノミーの「移行的活動」から除外した欧州委員会(European Commission)の委任規則を無効とする判決を下した。フランスの航空機メーカー、ダッソー・アビアシオン(Dassault Aviation)が除外規定の違法性を主張し、取り消しを求めていた訴えが認められた形である。
今回の判決で実務的に重いのは、裁判所が原告の訴えの利益を認めた論拠の部分である。
除外規定の下では、ダッソー・アビアシオンはみずから公表するサステナビリティ情報において、ビジネス機の製造をタクソノミー非整合の活動として記載する義務を負っていた。裁判所は、除外規定の無効化によってこの開示義務が解消され、同社の資金調達条件にも影響が及びうると認定した。
実体判断では、委員会が除外の根拠とした算定手法そのものが退けられた。
委員会は、旅客キロあたりのCO2フットプリントを他の輸送手段と比較し、ビジネス機を除外していた。これに対し裁判所は、他の輸送手段が必ずしもビジネス機の低炭素な代替になるとは限らないと判断した。CO2排出量に加え、柔軟性や速度、接続性といった固有の特性を踏まえれば、単純な優劣比較は成り立たないという立場である。
さらに裁判所は、旅客キロあたりのカーボンフットプリントという基準がタクソノミー規則に規定されておらず、航空機の運用に関わる指標であって製造そのものを評価するものではない点を問題視した。委員会がビジネス機の持続可能な航空燃料への対応能力を考慮せず、みずから追加的な分析の必要性を認めていた事実も指摘されている。
欧州委員会は判決から2か月10日以内に、法律問題に限って欧州司法裁判所(Court of Justice)へ上訴できる。
本判決の焦点は、タクソノミー整合性の判定が企業の開示ステータスと資金調達条件を直接左右する構造にある。一社の開示上の位置づけが司法によって非整合から外れた事実は、サステナブルファイナンスの分類が確定的なものではなく係争の対象になりうることを裏づける事例として位置づけられる。
ただし判断は個別の製造活動をめぐる委員会の方法論的瑕疵に向けられたものであり、上訴の余地も残る。タクソノミー枠組み全体の分類基準へ波及するかは、上訴審の判断が左右する。
参考:https://curia.europa.eu/site/upload/docs/application/pdf/2026-06/cp260091en.pdf