ディープスカイ(Deep Sky)は6月4日、TDバンク・グループ(TD Bank Group)との間で10年間のオフテイク契約を締結したと発表した。TDは同社のDAC由来除去カーボンクレジットを18,000トン超購入する。金額条件は非開示。
本件は、金融機関が恒久除去の長期調達主体として前面に出る動きを示す事例である。
金融機関による長期調達
TDは2019年比でScope1・2排出を29%削減済みで、削減後に残る残余排出をCDRで対応する方針を示している。今回の契約は、その残余分に充てる恒久除去の長期供給を第三者レジストリの検証付きで確保する位置づけとなる。
ディープスカイはアルバータ州でパイロット施設「Deep Sky Alpha」を稼働し、マニトバ州南西部で商業施設を開発中である。複数のDACおよび海洋回収技術を束ねるプロジェクトディベロッパーとして事業を組成する。
同社はこれまでに1億3,000万ドル(約208億円)を調達しており、出資者にはBMOやナショナル・バンク・オブ・カナダ(National Bank of Canada)など金融機関が名を連ねる。今回の購入契約と合わせれば、金融セクターは資金供給と需要創出の両面でDACインフラを下支えする構図にある。
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10年単位のオフテイク契約は、量産前段階のDAC事業者にとって将来キャッシュフローを裏付ける役割を担う。
恒久除去の調達という選択
TDは直近でクライムワークス(Climeworks)とも長期除去契約を結んでおり、ディープスカイはエンジー(ENGIE)やルフトハンザ(Lufthansa)とも供給契約を締結済みである。金融機関と航空会社が、恒久除去の主要な買い手として台頭している。
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買い手は単一技術・単一事業者への依存を避け、複数経路にまたがるポートフォリオ調達へ向かっている。TDがディープスカイとクライムワークスを並行して確保した構成は、その典型を示す。
恒久性の高いエンジニアド除去を、第三者検証を前提に長期固定で押さえる調達設計が前提となりつつある。
編集部の視点
本件は、金融機関が恒久除去の長期アンカーバイヤーとして定着しつつあることを示す事例として位置づけられる。
DAC事業者の最大の制約は、量産前段階における収益見通しの欠如にある。長期オフテイクは設備投資とプロジェクトファイナンスを成立させる前提を提供し、出資者にも金融機関が並ぶ点を踏まえれば、金融セクターは資金と需要の双方からDACのバンカビリティを補強している。
ただし、18,000トン超という調達量は10年で年平均約1,800トンにとどまり、これ単独でDACの商業的離陸を示すものではない。TDがクライムワークスとも並行契約している事実は、買い手がポートフォリオ調達へ向かう既存潮流の延長線上にある。
本件の意義は調達量ではなく、第三者検証付きの恒久除去を長期固定で確保する調達設計の再現性にある。この設計が広がるか否かが、エンジニアド除去の契約標準化を左右する。
