クライメワークス・ソリューションズ(Climeworks Solutions)は2026年6月19日、2026年上半期に炭素除去(CDR)の新規契約14件を締結したと発表した。合計の除去量は約45万トンで、同社の半期実績として過去最大となる。
契約先は銀行、航空、ヘルスケア、ラグジュアリー、小売、テクノロジーと業種をまたぎ、いずれも年間売上高50億ドル(約8,050億円)超の大手企業である。
14件の契約はバイオ炭、バイオエネルギー炭素回収・貯留(BECCS)、岩石風化促進(ERW)、植林(ARR)、直接空気回収(DAC)といった複数の手法を束ねたポートフォリオで構成される。自然由来と技術由来の除去を組み合わせ、単一手法に依存しない調達設計を採る点が特徴である。
公表済みの契約は3件にとどまる。北米の小売・消費財グループであるタペストリー(Tapestry)、大手AIインフラ企業との初のポートフォリオ契約となるNTTデータ、カナダの金融機関では初となるTDバンク(TD Bank)で、残りは今後数カ月で順次開示される予定である。
同社は現在、世界で200社超に炭素除去を供給しており、その多くがフォーブス・グローバル2000(Forbes Global 2000)に名を連ねる。同社の推計では、高品質な炭素除去を購入するフォーブス・グローバル2000企業の半数超が同社と提携しているという。
2024年の事業立ち上げから2年で、技術由来と自然由来の除去を組み合わせたポートフォリオを構築し、引き渡しと透明性、信頼性を重視してきたと同社は説明する。2025年には全ポートフォリオで引き渡し率100%を達成しており、納品の確実性を訴求材料に据える。
今回の発表は、ロンドン気候アクションウィーク(London Climate Action Week, LCAW)2026の開幕直前に行われた。
本件は炭素除去市場の構造転換ではなく、既存の調達トレンドの成熟を示す進捗と位置づけられる。
注目すべきは個々の契約よりも、複数手法を束ねて企業に提供するアグリゲーター型の調達モデルが、高品質な炭素除去の調達経路として定着しつつある点である。手法ごとに品質評価の負荷が高い現状において、自然由来と技術由来を一括で束ね、買い手のデューデリジェンス負担を肩代わりする座組みは合理性を持つ。2025年の引き渡し率100%という実績は、納品リスクが残る市場での差別化要因となる。
ただし、14件のうち公表済みは3件にとどまり、「フォーブス・グローバル2000の半数超」という数字も同社推計の域を出ない。
企業の高品質CDR調達がアグリゲーター経由に収斂していくのかが、今後の市場構造を左右する論点となる。