クライムワークス・ソリューションズ(Climeworks Solutions、クライムワークスグループ傘下)は2026年6月1日、トロント・ドミニオン銀行(Toronto-Dominion Bank、TD)と、高品質なCDRクレジットを10年間にわたり供給する契約を締結したと発表した。供給対象は、北米の複数の除去パスウェイにまたがるマネージド・ポートフォリオである。
本件は、自社の直接空気回収(DAC)由来クレジットの販売にとどまらず、第三者プロジェクトを含むポートフォリオの調達・管理機能を担う事業形態への展開を示す。
ポートフォリオ型調達の構造
クライムワークス・ソリューションズは、プロジェクトのソーシング、デューデリジェンス、継続的なポートフォリオ管理を一括して担う。対象となる手法は岩石風化促進(ERW)、バイオ炭、BECCSに加え、北米拠点由来の将来のDACクレジットを含む。いずれも長期貯留による耐久性の高い除去を志向する構成である。
ポートフォリオの柔軟性が本アプローチの中核に置かれる。
TDセキュリティーズ(TD Securities)のサステナブルファイナンス&アドバイザリー部門マネージングディレクター、スーザン・トンプソン(Susan Thompson)は、カーボンクレジット市場の基準と方法論が進化を続けるなかで、ポートフォリオ型アプローチがリスクを抑えつつ柔軟な選択肢を提供すると述べた。供給側が単一技術に依存せず、市場成熟に応じて構成を組み替えられる点に、耐久性と納入リスクの両立を図る狙いがある。
金融機関による長期調達
TDは北米第6位の銀行であり、クライムワークス・ソリューションズにとって初のカナダ金融機関顧客となる。TDにとっては、長期調達を通じてCDRの初期バイヤーの一角を確保する契約である。クライムワークスの最高商務責任者(CCO)アドリアン・ジークリスト(Adrian Siegrist)は、2025年のポートフォリオ納入実績が100%であった点に触れ、TDの残余排出への対応に貢献できると述べた。
TDのグローバル・サステナビリティ担当バイスプレジデント、ニコル・ヴァドリ(Nicole Vadori)は、クライムワークスのDAC技術を支援する初のカナダの銀行となることが、北米における革新的なクリーン技術を幅広く支援する戦略に合致すると説明した。
クライムワークスは2026年初頭にアルバータ州カルガリーへ本社を開設しており、今後数カ月はDAC技術の寒冷地試験に注力する。商用規模プラント建設に向けたマイルストーンと位置づけられる。
編集部の視点
本件は、法人によるCDR調達がポートフォリオ型へ移行する流れを象徴する契約として位置づけられる。
大口バイヤーが特定プロジェクトへの集中を避け、複数の除去手法を束ねた構成で耐久性と納入リスクを管理する動きが鮮明になっている。クライムワークス・ソリューションズのように調達・管理機能を切り出して提供する事業は、自社の生産能力に縛られずに供給規模と品質を確保する経路を開く。
金融機関が残余排出対応として長期調達に踏み込む動きがどこまで広がるかが、ポートフォリオ型モデルの定着を左右する論点となる。
参考:https://climeworks.com/press-release/climeworks-solutions-signs-10-year-cdr-agreement-with-td-bank
